このビジュアルイメージは見事。
田中陽造脚本による本作、凄まじい映画である。神代辰巳監督は、本作のシナリオがよくわからなかったということを述べているが、そのまま映像化したらとんでもないものが出来てしまったということか。神代辰巳ファンからは低評価なのだが、再評価が待たれる。一般映画では絶対出来ないことやろうとした製作者側の気概は、意図せずにリミッターを排除させ、人間が鬼にかわるこの異形のドラマを生み出してしまった。     
 この映画は気が滅入るような、タブーに触れたとても現実離れしたストーリーなのだが、映画そのものは岡崎二郎の熱演によって、物語の方向を見失うことはない。ひたすら地の果て向かって下降していくのだ。呪われた男岡崎二郎は、菩薩の刺青を背負い、地獄巡りの旅を続ける。 親を殺し、禁断の愛に溺れる彼は、もう人ではないかもしれない。殺戮のかぎりを尽くす姿は、鬼そのものなのだ。目の前に広がる血に染まった三途の川を眺め、彼は自分をこの世に引き出した僧侶を斬る。そこで映画は終わる。鬼は無間地獄のなかを生き続けるのだ。
 この映画を観て気分が悪くなったのは、私だけだろうか。何故か、賽の河原に佇む自分の姿を思い描かずにはいられないのだ、あの鬼と一緒に。