山科ゆりがヒロインで見たかった。

伝説というか、幻の一本で、絶対観たいと思いながらも私には敷居が高く今にいたってしまった。サド原作で身構えない人はいないだろう。その実、自分も含めて大方の人はサドなど読んだことがなく中身は知らないと思う。サド、ロマンポルノ、神代辰巳と各々専門家がいるなか、私ごときがどうこう言える立場にはない。それでも鑑賞記憶として書いてみる。
前半クラシックカー、洋館ホテル、蝋燭の灯と妖しき美女などゴシッククホラー的雰囲気が盛り上がる。しかし、お約束のポルノシーンにいたって、それまで積み上げた映画美学がポロポロ崩れ落ちていく。狂った女中川梨絵の官能美は令和の現代ですら衝撃的であるのだが、狂人山谷初男と行われる狂気の宴は、ただただ呆れてしまうしかない。スクリーンの中で毒の花を咲かすインモラル行為はかなり非現実的であるのだ。だか、この血まみれ映画に陰湿さはない。どこか開き直っている。反社会的ポルノで何が悪いという居直った製作者側の挑発は、上映禁止の憂き目にあったものの、伝説を生んだのだ。