シリーズ全作品は観てませんが、ファンです。

若干値は張るが、書店で見つけるなり購入してしまった。過去のインタビューの再録集となるが、鬼籍に入られた方も居られるし、近藤洋介、新克利などの顔ぶれもいい。必殺出演者のスタッフへの感謝、称賛はやむことはない。好きな時代劇だけにこういうのは嬉しいものなのだ。悪口ばかりでがっかりするのは、メイキング本にはありがちだからだ。
小規模ながら緒形拳のインタビューは、その特異な俳優像が浮かび上がる貴重なものだ。敬愛する三隅研次の「子連れ狼」の格調高さを絶賛する緒形には本質を見極める 確かな審美眼が備わっている。工藤栄一監督へ最大級のリスペクトを贈り、深作欣二監督とは藤枝梅安の過去についてじっくり語り合ったというエピソードには、映像芸術と真正面に向き合う誠実さがある。それでも『影の軍団 服部半蔵』が気に入っているというのはかなり意外であった。称賛する人が珍しい。おそらく観ているポイントが違うのだろう。久々に見返したてみたい。
山崎努を始め、ほとんどの方々が工藤監督との仕事、その映像美を誇りとしているなか、藤田まことは松野宏軌監督のシリーズへの功績を讃えるのを忘れてはいない。必殺に最も出演した俳優と演出した監督である。意外にも本書には藤田まことによる中村主水の言及は少ない。それはインタビューの主旨が違っていたからなのだが、偶然にも藤田の主水への愛憎半ばする気持ちの表れとも見えていなくもない。