1967年制作。『ポイントブランク』『殺しの烙印』も同年。異母兄弟的な殺し屋映画たち。

DVDジャケットデザインはこれですが、私にとっては、「砂地に首まで埋まった男、その頭に拳銃を向け、たたずむワイシャツの男」のあのビジュアルこそ『荒野のダッチワイフ』です。中高生のころ映画雑誌で見たあのスチール写真の衝撃。まさにシュール、完全に乾ききった悪夢的世界観、クール極まりない殺しの美学、といった一枚だった。監督大和屋竺の名は、同時期に見た再放送『ルパン三世』「魔術師と呼ばれた男」脚本家としても刻みこまれた。実際に本編を見るのは数年後 大和屋追悼上映時の時であったが、正直期待とは違ったものであった。今にして思えば多分チープさに失望したのだろう。ピンク映画だから低予算なのだがそもそもこのジャンルを見たことがなかったので仕方ない。だが今回30年振りに見返してもそれは変わらなかった。極めて個人的な感想なのだが映画全体があのスチールショット を見た衝撃を超えてこないのだ。本編では確かにあのシーンは登場するのがあくまでも一瞬のイメージショットであって、あの場面からドラマか生まれる訳でもなければ、この映画の最終地点でもない。結局制作側から見れば全く重要シーンではなかったのだ。題名のインパクトもあって大和屋監督作品中最も有名で評価も高い『荒野のダッチワイフ』は私にとって 因縁を持つ映画になってしまったが、思春期に出会ったあの衝撃は永遠です。