題名のインパクトに潰された傑作。

  2、3ヶ月 前に鑑賞。非常に感銘を受け、名作だと断言できる。鑑賞後、何故だか頭に浮かんできたのは『ショーシャンクの空に』だ。脱走、聖人、奇妙な友情、糞尿まみれなどに親和性を感じたのだろう。私的には『ショーシャンク~』は観たことすら忘れていたという評価ですが。完璧な脚本、伏線の回収が見事な名作との評価が確定している監獄映画だけど、そう思っている人に是非こちらの兵役映画を観て欲しい。階級違いの三国連太郎と中村嘉葎雄は何故一緒に脱走したのか。二人の間に何があったのか。その疑問が物語に引き込む回想形式の構成が見事。ある出来事で二人は汚物まみれの屈辱に耐えながら探し物をし、糞尿のなかからついに目的の物を見つけ出す。その瞬間の達成感が肩書き、しがらみを越え二人を結びつける。劇的で素晴らしいシーンだと思う。そして何よりもこの映画の白眉は三国連太郎の愚鈍ともいえる無垢な聖人振りだ。それに対して無実の囚人ティム・ロビンスは映画ファンのなかではキリスト並みに聖人化されているそうだ。見方を変えれば相当ずる賢いのだが。上官の西村晃に妻を乱暴されたのを知った三国は怒りに突き動かされ西村を殺害する。鈍とはいえ気の優しい男だった三国の行動は胸を打つものがある。殺人を止められなかった中村は、三国を不憫に思い脱走を手助けする。捜索の網を潜り抜け妻の元に駆けつけるものの彼女は自ら命を絶っていた。三国はそのあとを追い、脱走ほう助の中村は戦線に送られ映画は終わる。方や『ショーシャンク~』は脱走に成功したロビンスは汚れた金とは言え、騙し取った金の豪遊でエンド。何を見るかよりどう見るかですが、どういう行為行動が人を輝かさせるか、そこを感じ取って欲しい。観て良かった!