野獣が二人。
 30年ぶりくらいに鑑賞。脚本は石松愛弘。充たされない者たちをクール描いた東宝ニューアクションの中でも珠玉のクライムムービー。黒沢年男の腕を見込んだ三国連太郎とがタッグを組み強固で巨大な資本に闘いを挑む。大藪春彦の原作からアクを抜き取った乾いた仕上がり。猟犬-黒沢は、死んだ主-三国に代わって仇を取らなければならない。その復讐が果たされた瞬間、鮮血だけを残し他の全てが色を失う。闘いの終わり、物語の終わりである。「野獣都市」を観た全ての人に刻み込まれる名シーンといえる。続く黒沢と高橋紀子の逃亡シークエンスの日本映画離れした鮮烈な疾走感も忘れがたい。ただ、弱肉強食の社会を生きる狼たちの肖像を描き続けた大藪ハードボイルドにフォーキーなプロテストソングは似合わないと思うが。