射撃は未だに鳴り響く。
 恥ずかしながら初鑑賞。終戦目前の国境にて絶望的な死闘と殲滅を描く。私的には戦争映画の中でもトップクラスの大傑作。マシンガンに装填されていく弾薬、弾き出される薬莢、飛び回る跳弾。ディテール描写の徹底さが、作品をハードに引き立たせている。跳弾の恐怖をここまで描いた映画を知らないし、冷や汗が出る銃撃戦描写はなかなかお目にかかれない。乾いたカメラアイが徹頭徹尾戦場をストイックに写す。そのカメラが戦闘直前にとらえた花。この映画唯一の情緒である。シナリオの結末が変更され、代わりにラストで再び登場させたこの花に込めた谷口千吉監督の思い、祈り。伝わりました。