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 かつて、日本のミニシアターブームに貢献した、ヴィム・ベンダース監督最新作。
 今作の最も注目すべき点は、「パリ・テキサス」(1983)で脚本を担当した、サム・シェパードと再コンビを
組んだことだ。
 サムは脚本のみならず、主演も兼ねている。近年「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」というドキュメンタリ
はあったが、80年代の切れ味を失っているように見える、同監督の復活劇は成ったか?

 共演は、他に、ジェシカ・ラング、ティム・ロス、サラ・ポーリー、エヴァ・マリー・セイント等多彩。
 
 物語は、西部劇の撮影所からはじまる。落ちぶれた西部劇俳優(今や死語。しかしまぎれもなく現代の設定)、
ハワード(S・シェパード)は、現場から逃亡(!)、30年会ってない母親に会いに故郷へ戻る。
 そこで、自分に子供がいるという事実を聞かされる。

 本作は、ここから、彼を撮影所に戻そうと奔走する私立探偵、彼がかつて愛した女、その子、謎の
女性らが登場し、モンタナを舞台に、ハワードの心の原風景を描いていく。

 ヴェンダースが低迷期から(こう思っているのは筆者だけかも知れないが)再生する要素は、
このキャスティングや、わくわくさせる冒頭から、十分に思えた。
 しかし、メインのモンタナでの場面場面が、いまひとつ盛り上がりに欠ける。
 そもそもなぜ、彼は撮影所から逃げ出したのか?特に仲が悪くも見えない母親と、長年連絡が途絶えて
いたのはなぜなのか?30年という長い年月の割に、親と子の再会は、落ち着いたものだ(冒頭だから
しょうがないか・・・)。

 スカイ(S・ポーリー)という役は、重要な役だと思う。彼女の言動によって物語は、大きく左右された
はずだが、さしたる動きもないまま、ラストに、ちょこっとハワードと対峙するだけで、それ以外は、
神出鬼没に登場するだけだ。
 スカイの描き方次第で、実際に「パリ・テキサス」の再現は可能だったのでは?

 西部のカラッとした気候どおり、本作の描かれ方は、非常にさっぱりしている。
 実際のパートナー同士である。S・シェパードとJ・ラングの絡みは、本作で最も見ごたえのある場面か。
 もう少し、面白くできたんじゃないかと思えて、残念な作品だ。

C- 2/7よみうりホール