白梅

 とめこかし梅(むめ)盛りなるわが宿を疎きも人は折にこそよれ       西行さん

 

朝からはダイソン当てて弄び昼から勉強米国のこと

 

覚えたと言ってもすぐに忘れてはいつまでたっても堂々巡り

 

点字打つ人の苦労を忘れめやパソコンからも苦労しつつも

 

我も行き妻も行きたる三山の妻争いの言い伝えあり

 

貝塚を出でて泉北十年の紀州橋本四十年を

 

わが孫は大和に居りてむつくけし三笠の山を眺めいるかも

 

紀州には西行さんの領地あり田中荘なる紀の川市なり

 

わが前にチョコレート菓子ビスケット子供のように食いむさぼりぬ

 

わが宿は疫病流行るを荒れにけり妻と二人の暮らしを生さん

 

八十を前に未だに読み解けず日本語漢字難しきかな

 

万太郎たたえて今日は文化の日あちらこちらに人間歩く

 

万太郎願を込めて句にしたり今日文化の日菊も匂えや

 

そこここに人間歩きて二足にてよちよち歩く赤子も居たり

 

東京は芝増上寺芭蕉庵万年橋の懐かしきかな

 

良くもあれば悪くもありて世の中の見極めがたし老いたれども

 

隙あらばいざ攻め立てよ家康公畑耕す家康公は

 

保存食ソーセージまたハムにベーコンやっと思い出したり

 

沿道に三島神社の鳥居たち大岡信の闊歩したるか

 

里に来て巣箱を覗く山雀の田中さんちに午後の日差しを

 

展宏さんこの世を去りて五条橋冬瓜提げて歩いていたか

 

公暁には寛一郎のやつしたり三国連太郎の孫に当たれり

 

お渡りか渡御と読むのか日本語のいよいよ悩まし老いの秋なり

 

推し量ることもかなわじ老いたれば尋ねる人も今や居なくに

 

世の中にこんな寂しい秋はない中国上海抗議のデモを

 

 

月食 天王星食を伴う 20221108

 月蝕の話などして星の妻    正岡子規

 

細君はいそいそ学文路体育館市民大学運動会へ

 

世の中にさらぬ別れの山田君元気でいるか便り送らん

 

またもあれな十年前の殺人の蒸し返したる山科暑とは

 

淡淡と思い出すこと多きかな芭蕉の俳諧散歩の中で

 

梨泰院と書いて「イテウオン」と読む朝鮮語かすかに似通う

 

見違える空より轟音降りにけりヘリ二機の基地を飛び立つ

 

安曇川はアドガワと読み安曇野はアズミノと読む所違えば

 

思い出は巡り巡って元に戻る老いさらばえて今に我あり

 

思い出は父母に守られ夏の日の蟻の巣穴を探していたり

 

西行さんまた業平さんを覚えては散歩に出でて吹聴したり

 

お兄さんお姉さんとて呼びたくも弟ばかりの四人兄弟

 

父母に呼び掛け見ても返事なし秋の昼間の中央公園

 

細君の努力家なれば大学へ七十五歳進学したり

 

あわよくば金を儲けん手立て知らず元の木阿弥熟語飛び出す

 

西行を業平さんを覚えては何の為なるああ老いたりき

 

 

城山台2丁目花壇

 花園に晩涼の蝶一しきり        松本たかし

 

いとどしく過ぎゆく方の恋しけれあの子にこの子今はいかにと

 

蝋梅に目白山雀訪ねけり人見ておれば楽しかりけり

 

子供らは日曜の昼集いけり中央公園声聞こえけり

 

あわよくば逝きたる人に会いもせん紀州街道往還の時

 

いにしへの西行さんの往還す軽自動車の驀進したり

 

和歌山の三社参りは日前宮、いたきそ、竈山これぞめでたし

 

紀州には鉄道ありて貴志川線小島光信社長の下に

 

あわれこの紀の川のながれものとせず西行さんの上京したり

 

弟に電話をすれば気安さの満ちてほとほと涙出でたり

 

岸和田は母の生まれしふるさとの港まつりの懐かしきかな

 

弟は大和に住みて気安さの電話をすれば兄弟喧嘩

 

なんだかんだ夜中を西行短歌覚えたり幾度繰り返しいまだ覚えず

 

なんだかだ大和の子らの懐かしき同級生に電話するなり

 

どうしたか確かめるまでもなく物覚え弱まり行けり老いの嘆きは

榛名山 群馬県高崎市

 大方はすゝきなりけり秋の山      正岡子規

 

関西の和泉の国の貝塚の浜に生まれて貧しかりけり

 

そののちの僕の生き方是か非かの分からず老いの八〇歳を

 

子供らの巣箱に山雀四十雀出入りするよ見え隠れして

 

子供らは雨のさなかを登校の見守り細君励ましいたり

 

自ずから行き着くところなしと見ゆ我が情けなき性格なりき

 

国道は二十四号坂道の五条へ向かう紀州街道

 

隅田八幡左に見ては驀進す我が軽自動車は細君運転

 

はると君朝の登校見えなくて家を訪ねるコロナだったよ

 

公園を散歩に出でぬ誰々と会えば話に花を咲かせる

 

 

コキア

 

 大和より 国原つゞき 小春富士     長谷川かな女

八十年修理もせずに尿管をほとばしり出る朝の幸い
 

芭蕉さん宮城の野原訪いし時秋風吹いて三百余年

 

繕えばまた甦る靴下を細君小まめに手仕事なせり

 

三輪の山そのふもとには三輪明神住まえる山雀達者でいるか

 

秋の日を庭の巣箱に山雀の出入りするなり気に入りたるや

 

生徒らの庭の巣箱に山雀の気に入りたるや出入りするなり

 

弟の短歌十五首贈りたりわけわからずも上手なりけり

 

細君の軽自動車運転の拙なかれどもハンドル握る

 

小学生なれば水田に腰までも埋もれ代掻き身動きできず

 

牛の口公園昔水田の小学生の泥田を這えり

 (岸和田市牛の口公園)

 

哀れいかに中学高校思い深し柔道教練ぶつけられたり

 

残る油に残らぬ水のいかにあれ鎌倉武士の浮き沈みする

 

武士という人殺しさえあわれなり西行さんの出家の因縁

 

哀れいかにお堀の池の鮒鯉の浮き沈みする高校生活

 

大和より便りありけりわがもとに弟嫁に三人の子は

 

山田君嫌など言わず最後までむさい僕だが付き合ってくれ

 

八十を前にボケなど言わないでこうちゃん孫ならわかってたもれ

 

美空なる空より何か落ちにけん隕石といい衛星といい

 

和歌山は日当たりの良き紀の川を白鷺一羽佇みいたり