船は太平洋へ向けて走り出しました。
今回お世話になる船の船長さんは大ベテラン。
自己紹介とともに、「こんな楽しいことしてお金をもらうのは申し訳ない」なんて話をされながら船をすっ飛ばします。
みるみるうちにおがさわら丸が遠ざかっていきました。
船長さん以外に船のスタッフ兼ガイドさんはふたり。
船内ではスタッフさんの流れるような語り口で解説が始まりました。
海に入る時の注意点、ホエールウォッチングの注意点やクジラの見つけ方、豆知識などを教えてくださいます。
世界を回遊するザトウクジラは、夏は餌を求めてロシアやアラスカにお出かけしており、小笠原を不在にしている季節。
捕食するダイオウイカを探すために深く潜水するときは、90分間ほど呼吸を止められる、とか。
沖合いから10Kmほど離れた海域では、深海1000m(!!)以上潜り、餌を捕ったら水面近くで休憩する、とか。
大きな潮吹きがあったら10分くらい潜ってしまうので他のポイントに移る、とか。
この先、地球上で最大の哺乳類との、嬉しい楽しい出会いが待っている予感がします。
(今回のホエールウォッチング対象はマッコウクジラですけれど。)
時々、雲に覆われますが、今日もお天気。
カツオドリがやってきました。
今日も彼らは元気です。
そしてフレンドリーです。
ひとまず、クジラよりも遭遇率の高いイルカも探しながら、兄島の海峡へ。
このあたりはシュノーケリングスポットですが、沖合は潮の流れが速いので注意が必要。
昨日訪れた宮之浜海岸から兄島を眺めたときに
ガイドさんがおっしゃっていた言葉を思い出します。
その宮之浜海岸からのぞめた兄島のキャベツビーチというポイントに到着したところで、シュノーケリングタイムとなりました。
潮で流されないように海岸近くで泳ぎます。
ここは餌付けをしても良いポイントとのことで、餌付け用のパンを準備してくださっていました。
ロクセンスズメダイがうようよと集まってきます。
もてもてー楽しいー笑。
縦にグラデーションがかかったお魚はなに?
魚と鳥に詳しい姉に聞いてみたところ、ヤマブキベラかな?とのことでした。
お魚さん、お邪魔してごめんね。
このキャベツビーチは、テーブルサンゴがお見事でした。
そして、水深が浅いので明るい青、透明度もなかなかに高かったです。
完璧なバブルリングを作っておられるる方がいたので、撮影させていただきました。
ステキすぎる。ありがとうございました。
魚になった気分で40分ほど泳ぎ回ったところで船に戻りました。
(※写真は後からやってきた別のチームです。バブルリング創生者はダイビングチームのかたでした。)
移動します。
マッコウクジラを見たとの情報をキャッチした船長さんは、沖合いへと船を走らせ始めました。
私たちよりも高い場所で、船長さんは船を操りながら海の彼方を見つめています。
しばらくすると
「いました! ●時をご覧くださいっ」
船長さんの声が船内に響き渡りました。
たとえば、船の先頭を上にして、真北に見えたら12時、南東に見えたら4時と、時計の短針の位置で、クジラが見える方向を知らせます。
(こちらの情報はスッキリー。)
道中、そのアナウンスを受けていた私たちは、一斉に●時の方を向きました。
いました!
話によると、半日待っていても、かなり遠くで背中がちょっと見えるくらいという日もザラにあるとか。
当たり前と言えば当たり前。
地球の7割を占める海を居城にしている哺乳類の王の動きなど、そんな簡単に人間が捉えられるわけはないというものです。
ついていました。
船長さんは船のエンジンをとめ、様子をうかがっています。
小笠原諸島では人間のウォッチング行為がクジラたちの自然な行動を妨げないように、ホエールウォッチングの自主ルールをいくつか定めています。
そのひとつに「クジラから100m以内には侵入禁止」という決めごとがあり、ホエールウォッチング船はクジラとの距離が100mになったらエンジンを停止して、自らは近づきません。
船が止まっている状態でクジラの方から来る分には問題ないので、クジラが見えたら船は止まって、動向を見守るタームに移行するのです。
「メスのマッコウクジラです。穏やかですね。好奇心も旺盛です」
自ら近づいてきてくれました。間近での出会いです。
近寄ってきたと思ったら、船の下を通って
すぐ近くで浮上。
完全に私たちを好奇心いっぱいの気持ちで迎えてくれてますね。
潜水艦のような流線型の背中のフォルムです。
この子なら大丈夫と思われたのでしょうか、
突然、船長さんとスタッフさんから
「クジラを海から見たい方は海に入って〜。急いでー」との号令がかかりました。
(※ブロウがあがっています。)
変態カメラ小僧のように、必死で彼女を追っていたので出遅れました。もうすでに入っているメンバーがいます。
慌てて海へ静かにダイブしました。
初めて間近で見るマッコウクジラは、頭がとーっても大きかった。
そしてキュッと閉じたお口が大変に愛らしかった。
カメラを船内においてきてしまったので、しっかり脳裏に焼き付けました。
ちっぽけな私たちをチラチラ見てくれているようです。
こうして私たちにしばらくお付き合いしてくださったのち、静かに去って行きました。
船を転覆させることもできたでしょうに。胸びれでたたきつけることだってできたでしょうに。
あまりの可愛らしさに涙が出ました。
ありがとう。元気でいてね♡
さらに沖合いに別のクジラたちが見えたとのことで、そちらへと走らせます。
激しいブロウです。
先ほども出てきたブロウ、これはクジラさんが呼吸をする時に吐く息。
マッコウクジラの鼻は頭の左側についており、海面に浮上した時に鼻から息を吐きだして息継ぎをします。
このときに、鼻の穴の周りの海水が飛び散るため、頭から水が出ているように見えるとのことでした。
「ぶおっ」という生物由来のしっかりとした「呼吸音」も耳にしました。
さらには遠方で、でも肉眼ではっきりとブリーチングをするクジラさんを捉えることができました。
さらには遠方で、でも肉眼ではっきりとブリーチングをするクジラさんを捉えることができました。
※写真はその時のものではありませんがw
水飛沫の上がるそちらへとそちらへと船を走らせもしたのですが、途中で海のどこかへと消えてしまいました。
でも、かなりクジラさんに会えたように思います。
船は次の目的地を目指し始めました。
その間にこちらをどうぞ。
全身へと酸素を取り込んでから、大きな尻尾を海上に振り上げ、深海へと還っていく、その姿です。
潜る時に見せるこれは、フルークアップと呼ばれています。
続けて、隣にいた大きめのチビッコも潜っていきました。
マッコウクジラの見た目を特徴づけるのが、間近でも実感した、極端なまでに肥大化した頭部です。
実は、この頭部の中には大量の脳油(鯨蝋)が含まれています。
一説によると、頭部に含まれる鯨蝋は冷たい海水によって冷やされることで密度の高いドロドロの固体となり、重りの役割を果たすことで深海への急潜水を可能としているとか。
さらに、浮上の際には鯨蝋周辺の毛細血管へと血液を送り込むことで、固体となったワックスを溶かして急浮上を行っているとも。
こうしてみると、マッコウクジラの鯨油は相当に優秀だと察せられます。
ここに目をつけた私たち人間は、鯨油を極寒の地域でも凍らない優良な潤滑油として利用しました。
有名なところでは、ロールスロイスなどのミッションオイルの原料に、氷点下の環境で使用される人工衛星のオイルに。
月面にはじめて人類を送り届けたアポロ11号にも、マッコウクジラの脳油が使用されていたという話もあります。
人類の宇宙進出は、マッコウクジラなしではあり得なかったのですね。
ホエールウォッチングのツアー中、ハーマン・メルヴィルによる『白鯨(Moby Dick)』のことを思い出していました。
実家の本棚にささっていたその本を読んだ記憶があります。
けれど、覚えているのは、印象的なエピソードが山盛りに詰め込まれていたということだけ。
今、改めてこの名著を自分のお金で買いなおし、読んでいるところです。
今、改めてこの名著を自分のお金で買いなおし、読んでいるところです。
島では、クジラがデザインされたマンホールが使われています。
あなたたちのことを絶対に忘れません。
本当にありがとう。
じつはザトウクジラw一度見たことがあります。
でも、小笠原でぜひ会いたいです。
今頃、小笠原海域をのびのびと泳ぎ回っていることでしょう。
またお邪魔させていただきますね。
今回お世話になる船の船長さんは大ベテラン。
自己紹介とともに、「こんな楽しいことしてお金をもらうのは申し訳ない」なんて話をされながら船をすっ飛ばします。
みるみるうちにおがさわら丸が遠ざかっていきました。
船長さん以外に船のスタッフ兼ガイドさんはふたり。
船内ではスタッフさんの流れるような語り口で解説が始まりました。
海に入る時の注意点、ホエールウォッチングの注意点やクジラの見つけ方、豆知識などを教えてくださいます。
世界を回遊するザトウクジラは、夏は餌を求めてロシアやアラスカにお出かけしており、小笠原を不在にしている季節。
捕食するダイオウイカを探すために深く潜水するときは、90分間ほど呼吸を止められる、とか。
沖合いから10Kmほど離れた海域では、深海1000m(!!)以上潜り、餌を捕ったら水面近くで休憩する、とか。
大きな潮吹きがあったら10分くらい潜ってしまうので他のポイントに移る、とか。
この先、地球上で最大の哺乳類との、嬉しい楽しい出会いが待っている予感がします。
(今回のホエールウォッチング対象はマッコウクジラですけれど。)
時々、雲に覆われますが、今日もお天気。
カツオドリがやってきました。
今日も彼らは元気です。
そしてフレンドリーです。
ひとまず、クジラよりも遭遇率の高いイルカも探しながら、兄島の海峡へ。
このあたりはシュノーケリングスポットですが、沖合は潮の流れが速いので注意が必要。
昨日訪れた宮之浜海岸から兄島を眺めたときに
ガイドさんがおっしゃっていた言葉を思い出します。
その宮之浜海岸からのぞめた兄島のキャベツビーチというポイントに到着したところで、シュノーケリングタイムとなりました。
潮で流されないように海岸近くで泳ぎます。
ここは餌付けをしても良いポイントとのことで、餌付け用のパンを準備してくださっていました。
ロクセンスズメダイがうようよと集まってきます。
もてもてー楽しいー笑。
縦にグラデーションがかかったお魚はなに?
魚と鳥に詳しい姉に聞いてみたところ、ヤマブキベラかな?とのことでした。
お魚さん、お邪魔してごめんね。
このキャベツビーチは、テーブルサンゴがお見事でした。
そして、水深が浅いので明るい青、透明度もなかなかに高かったです。
完璧なバブルリングを作っておられるる方がいたので、撮影させていただきました。
ステキすぎる。ありがとうございました。
魚になった気分で40分ほど泳ぎ回ったところで船に戻りました。
(※写真は後からやってきた別のチームです。バブルリング創生者はダイビングチームのかたでした。)
移動します。
マッコウクジラを見たとの情報をキャッチした船長さんは、沖合いへと船を走らせ始めました。
私たちよりも高い場所で、船長さんは船を操りながら海の彼方を見つめています。
しばらくすると
「いました! ●時をご覧くださいっ」
船長さんの声が船内に響き渡りました。
たとえば、船の先頭を上にして、真北に見えたら12時、南東に見えたら4時と、時計の短針の位置で、クジラが見える方向を知らせます。
(こちらの情報はスッキリー。)
道中、そのアナウンスを受けていた私たちは、一斉に●時の方を向きました。
いました!
話によると、半日待っていても、かなり遠くで背中がちょっと見えるくらいという日もザラにあるとか。
当たり前と言えば当たり前。
地球の7割を占める海を居城にしている哺乳類の王の動きなど、そんな簡単に人間が捉えられるわけはないというものです。
ついていました。
船長さんは船のエンジンをとめ、様子をうかがっています。
小笠原諸島では人間のウォッチング行為がクジラたちの自然な行動を妨げないように、ホエールウォッチングの自主ルールをいくつか定めています。
そのひとつに「クジラから100m以内には侵入禁止」という決めごとがあり、ホエールウォッチング船はクジラとの距離が100mになったらエンジンを停止して、自らは近づきません。
船が止まっている状態でクジラの方から来る分には問題ないので、クジラが見えたら船は止まって、動向を見守るタームに移行するのです。
「メスのマッコウクジラです。穏やかですね。好奇心も旺盛です」
自ら近づいてきてくれました。間近での出会いです。
近寄ってきたと思ったら、船の下を通って
すぐ近くで浮上。
完全に私たちを好奇心いっぱいの気持ちで迎えてくれてますね。
潜水艦のような流線型の背中のフォルムです。
この子なら大丈夫と思われたのでしょうか、
突然、船長さんとスタッフさんから
「クジラを海から見たい方は海に入って〜。急いでー」との号令がかかりました。
(※ブロウがあがっています。)
変態カメラ小僧のように、必死で彼女を追っていたので出遅れました。もうすでに入っているメンバーがいます。
慌てて海へ静かにダイブしました。
初めて間近で見るマッコウクジラは、頭がとーっても大きかった。
そしてキュッと閉じたお口が大変に愛らしかった。
カメラを船内においてきてしまったので、しっかり脳裏に焼き付けました。
ちっぽけな私たちをチラチラ見てくれているようです。
こうして私たちにしばらくお付き合いしてくださったのち、静かに去って行きました。
船を転覆させることもできたでしょうに。胸びれでたたきつけることだってできたでしょうに。
あまりの可愛らしさに涙が出ました。
ありがとう。元気でいてね♡
さらに沖合いに別のクジラたちが見えたとのことで、そちらへと走らせます。
激しいブロウです。
先ほども出てきたブロウ、これはクジラさんが呼吸をする時に吐く息。
マッコウクジラの鼻は頭の左側についており、海面に浮上した時に鼻から息を吐きだして息継ぎをします。
このときに、鼻の穴の周りの海水が飛び散るため、頭から水が出ているように見えるとのことでした。
「ぶおっ」という生物由来のしっかりとした「呼吸音」も耳にしました。
さらには遠方で、でも肉眼ではっきりとブリーチングをするクジラさんを捉えることができました。
さらには遠方で、でも肉眼ではっきりとブリーチングをするクジラさんを捉えることができました。
※写真はその時のものではありませんがw
水飛沫の上がるそちらへとそちらへと船を走らせもしたのですが、途中で海のどこかへと消えてしまいました。
でも、かなりクジラさんに会えたように思います。
船は次の目的地を目指し始めました。
その間にこちらをどうぞ。
全身へと酸素を取り込んでから、大きな尻尾を海上に振り上げ、深海へと還っていく、その姿です。
潜る時に見せるこれは、フルークアップと呼ばれています。
続けて、隣にいた大きめのチビッコも潜っていきました。
マッコウクジラの見た目を特徴づけるのが、間近でも実感した、極端なまでに肥大化した頭部です。
実は、この頭部の中には大量の脳油(鯨蝋)が含まれています。
一説によると、頭部に含まれる鯨蝋は冷たい海水によって冷やされることで密度の高いドロドロの固体となり、重りの役割を果たすことで深海への急潜水を可能としているとか。
さらに、浮上の際には鯨蝋周辺の毛細血管へと血液を送り込むことで、固体となったワックスを溶かして急浮上を行っているとも。
こうしてみると、マッコウクジラの鯨油は相当に優秀だと察せられます。
ここに目をつけた私たち人間は、鯨油を極寒の地域でも凍らない優良な潤滑油として利用しました。
有名なところでは、ロールスロイスなどのミッションオイルの原料に、氷点下の環境で使用される人工衛星のオイルに。
月面にはじめて人類を送り届けたアポロ11号にも、マッコウクジラの脳油が使用されていたという話もあります。
人類の宇宙進出は、マッコウクジラなしではあり得なかったのですね。
ホエールウォッチングのツアー中、ハーマン・メルヴィルによる『白鯨(Moby Dick)』のことを思い出していました。
実家の本棚にささっていたその本を読んだ記憶があります。
けれど、覚えているのは、印象的なエピソードが山盛りに詰め込まれていたということだけ。
今、改めてこの名著を自分のお金で買いなおし、読んでいるところです。
今、改めてこの名著を自分のお金で買いなおし、読んでいるところです。
島では、クジラがデザインされたマンホールが使われています。
あなたたちのことを絶対に忘れません。
本当にありがとう。
じつはザトウクジラw一度見たことがあります。
でも、小笠原でぜひ会いたいです。
今頃、小笠原海域をのびのびと泳ぎ回っていることでしょう。
またお邪魔させていただきますね。