集合場所に到着しました。

ナイトツアーの醍醐味は、日中、お目にかかれない“ヤツら”に遭遇できること。

今宵、お供をしてくださるガイドさんは、(大げさではなく)小学生かと見間違えた可愛らしいお姉さん?お嬢さん?です。

さて時間となりました。出発です。

うねうねとした街灯ひとつない道を通って、昼間、子どもたちが戯れていたコペペ海岸へやってきました。

自然光に照らされていたので、日中は街灯がないことに気づかなかった。

外に出たら、まずは空を仰ぎます。

「今日は星があまり見えないですねー。●●●●●●●●●●●●●●●●●●●からですね」と、ガイドさんの小学生声が聞こえてきました。

(※●●●に入る言葉は2日後にわかりますー。
おがさわら丸での夜、星空を撮影しに行った姉が同じことを言っておりました。)

もちろん横浜をはじめとした大都会よりも多くの星の瞬きを見られますが、期待していたほどではありません。

「でも、夏の大三角は見えますね。どれだかわかりますか?」とガイドさん。

「あ。あれ、あれ、あれですね」と夜空に三角を描くように指さす私たち。

「どこを指しているかあまりわからないですが、たぶん合ってます」とガイドさん笑。

その後、ライト付きポインターで夏の大三角を示してくださいました。

いつもならば、さらに詳しく説明を星空してくださるようですが、●●●が理由のため、今日はこれにて星空案内はおしまい。



最初のお目当てを見つけに行きます。

そのお目当てとは、国の天然記念物に指定されているオカヤドカリです。

ガイドさんが浜辺や海岸をライトで照らしてくださいました。



私たちも各々、スマホなどのライトを使って探しまわります。

そんな中、突然、足元で飛び跳ねる物体に遭遇。

驚いて、「キャッ」と女性っぽい声をあげてしまいました。「キャッ」って笑。

オオヒキガエルです。

ヒキガエルの中でもとりわけ大きなカエルです。

原産地は中央アメリカですが、サトウキビの害虫駆除のために日本の南西諸島に輸入されてから、外来種として根付いてしまっているそうです。



ヒキガエルは弱いながらも毒をもつものが多いですが、このオオヒキガエルはとりわけ強い毒をもっています。

しかも体が大きい分、毒の分泌量も多いときています。

毒自体はヒトが触るだけならそこまで問題はありませんが、粘膜についたら注意が必要です。

コヤツを触った手で目を擦ると失明する危険もあるとのこと。

不意打ちをくらった驚きと、若干、腰が引けているせいか、最初に撮ったヤツは、写真がブレてます。

同じツアーにひとり参加の若い男子が3,4人いたのですが、彼らも、大ヒキガエルが突然現れるために、わっ!わっ!とビックリしまくっていました笑。

ヤツはアスファルト上にもいました。

でも、慣れてきたのかしら、あら?アマガエルのように可愛らしく見えてきました。



・・・やっぱり、可愛くない。



・・・と思っていたのですが・・・ヤツも可愛く見えてきたきた。

慣れ云々じゃなく、ぽってりしたおててと、そのクセある雰囲気が愛らしいのは真正面から認めちゃいます。

こうしてオオヒキガエルに別の意味で心をもっていかれている間に、オオヤドカリがお出ましされていたようです。

オカヤドカリは、日本では、小笠原諸島以外に沖縄県や屋久島などにも生息しています。



目が退化しているので光を当てても大丈夫。代わりにニオイで周囲の情報をキャッチしているそうです。

エビやカニの仲間で、海のヤドカリから進化した生き物。
ですが、その名の通り、陸上で生活をするヤドカリさんで、水中では生きていけません。

と、親のオカヤドカリは陸上で生活しますが、幼生はお母さんによって海に放たれ、1か月程度プランクトンとして暮らします。

その後、小さな巻貝に入って上陸し、雄は基本的に、生涯海にもどりません。一方、雌は幼生を放すためときどき海に降りてきます。

この降海には規則性があり、夏(6月末から9月にかけて)の大潮(満月か新月)の日の暗くなった後に、特に集中して行わるそうです。


それにしても、オカヤドカリはなんとも素敵で大きな貝殻を背負っていますよね。



でも、これ、本当は貝殻じゃないんですって。

小笠原のオカヤドカリは、アフリカマイマイという外来種のカタツムリの殻をお家にしてる子が多いそうです。
(アフリカマイマイについては後述します。)

生息地の浜辺などでは普通に見られるオカヤドカリさん。

一生懸命に歩く姿に心が温まります。

簡単につかまえることができそうですが、天然記念物に指定されているので、許可なきものが勝手に採取することは禁じられています。

(私の)許可をとらないとダメですよ。

続いて向かったのは亜熱帯農業センター(→)。

ここにはマニラヤシが林立したエリアがあり、夜行性のアヤツに出あえる(はず)そうです。

2、3分、見上げながら歩き回ったところで、
「いました!」とガイドさんの声。

アヤツとは、オガサワラコウモリです。

絶滅危惧ⅠB種に指定され、父島での生息数はわずか100頭程度。

その貴重な生物がすぐに見つかるとは、流石はプロフェッショナルなガイドさんです。

ただ、暗い上、元気に飛び回っていたため、カメラにおさめることができませんでした。残念〜。

でも、肉眼でお顔も見えましたし、写真としては残っていませんが、満たされた気持ちです。


満ち足りた気分の中、さらにもうひとつ、ナイトツアーの目玉を見に行きました。

光るキノコとして有名なグリーンぺぺ(別名・ヤコウタケ)です。

ガイドさんとともに、いるであろう光のほうへと導かれて行きました。



いましたいました。ほのかに神秘的に緑に光るグリーンぺぺが。

日本では、温暖多湿な小笠原諸島をはじめ、八丈島を主な自生地としています。

小笠原では5月〜11月の雨上がりの夜、コヤツたちに会うことができます。

ナイトツアーで見られない日も多いそうで、ラッキーでした。スコールも功を奏したようです。



キノコの形での発光は2、3日。
この子たちは光が強いそうなので発光し始め、ほっかほかほっくほくの状態ですね。


ガイドさんが、グリーンペペの菌糸が付着した竹片を持ってきて下さいました。



菌糸は胞子が生育に適した場所で育った状態で、キノコが出てくる前段階です。

この段階でもうっすら光っていますね。

きゃっきゃきゃっきゃとぺぺちゃんに夢中になっていると、
「みなさん、足元に気をつけてください」とガイドさんがおっしゃいます。

アフリカマイマイが地を這っていました。

オカヤドカリが住まいとしていた殻の、元主です。

カタツムリといえば、雨の日、あじさいの葉にかわいらしく佇むイメージ。

でも、アフリカのマイマイは違います。


(※昼間、スコール時に撮影したものです。)

東アフリカ原産のカタツムリで、最大で体長20センチ超え。
農作物を食い荒らし、農業に甚大な被害を与えることから、米国農務省は輸入および飼育を禁じています。

米マイアミ・ヘラルド紙は「世界で最も有害な種のひとつ」ともしているそうです。

農作物にも深刻なダメージを与えるヤツらですが、最も厄介なのは人体への影響。

寄生虫が寄生していることがあるため、直接触れると脳炎や脳脊髄膜炎を引き起こす恐れもあるとのことです。

なお、ヤツらは、世界の侵略的外来種ワースト100、日本の侵略的外来種ワースト100に選定されています。

オオヒキガエルにアフリカマイマイ。

わたしが小学生だったら、「危険生物♪ 危険生物♪」と小躍りしていたことでしょう。

そう、小学生は危険生物が大好物です♡

最後に、とびうお桟橋(→)へとやってきました。

とびうお桟橋は、おがちゃんが停泊している二見港から北へ徒歩で5〜10分ほどのところにあります。



人だかりがしていたので近づくと、2匹のエイが悠々と泳いでいました。



エイから少し離れたところにはサメもいました。



彼らは、夜のとびうお桟橋では常連のようです。

とびうお桟橋は、夜になると、オレンジ色の街灯の下に、サメやエイなどの生き物たちが集まってくる知る人ぞ知るスポット。

ガイドさんの高価値④:自分では気づけなかったであろう魅力に気づける。

むかし、ここで頻繁に餌付けをしていたので、その名残でいまだに海の生き物たちが餌を求めてやってくる、とのことでした。


さて、ミニミニガイドさんに宿まで送っていただき、本日のツアーは終了です。

お世話になりました。どうも有難うございました!

「ちかれたー」

24時間かけてやってきた島で、上陸日から夜まで動きまわったおたるたん。

すっかりくつろぎのポーズです。



おつかれさま。よく頑張りましたっ。

それでは、おやすみなさーい。