居酒屋行ってきた。

マスター(親)がいた。

最近、行動遺伝学で努力に関する新たな知見を得た話をした。

「努力癖をつける」とか「努力をする力」とか昔言われてましたけど、「努力」なんていくら継続してもムキムキ筋肉みたいにもっと努力できるようになるとか、そんなもの存在しないらしいですよ?

って話して。

努力っていうのは、脳内の、ワーキングメモリってところを使用して行われるらしいですけど。

たとえば、このワーキングメモリというのは2×2の答えとか、4であるというのを、検索してくるような作業を行う部位なんですが、ここの容量は極めて小さくて、22×22とか、123×123とか指示出されると、すぐに負荷がかかって、フル回転してもなかなか答えが出ないんですよ。で、こういうときの認知的負荷というのは、把持時間も短く、あくまで短時間しか使えない。

努力というのは、このワーキングメモリを使って、自分をもう一人の自分が監視して、強制的に自分に何かをさせるので、やっぱりこの努力というものも、人間は短時間しか行えない、というのが行動遺伝学で言われていた話をしたんだけど。

昔なんか「常に努力して常に成長しろ!」とか平気で指令出してる人いましたけど、「教養がない」「何も知らない」というだけで、くそ真面目にそれ実行しようとしたりすると、そりゃ精神を病みますよ、って話して。「教養は大切ですね。」って話して。

今だと、小学校低学年の時から、私立中学受験対策とかしてるじゃないですか、努力だど根性だ言われて。

あれなんかひどいですよねぇ、受験勉強なんか何年間もするもんじゃないですよ、って話して。

今の社会システムは非常に複雑なので、そのシステム下で過激に競争させようとすると、とても人間の子どもにはできないようなことを、無理強いする結果になるわけですよねぇ・・・って話。

マスターの息子さんは、近くの学習塾で、子供の中学受験対策で、深夜に小学校3年生の子どもを迎えに来る親が時々、待ってる時間に時々、このお店に来るんですが、飲みすぎると子どもにばれるから、とかいうことで、ここで隠れて酒飲んでるんですよ、って言っていて。大きい声では言えませんが、その塾の先生も、飲みに来ることあります、って言っていて。

小学3年生から受験戦争とかって、親は何させたいんでしょうね?ってマスターが怒っていて。

「自分の子供だけ競争に取り残されてはいけない。」とかいう親の焦りですよ、って話。

でも、さっき言ったように、人間が努力に取り組める時間っていうのは本来かなり限られているということと。

人間の能力はそもそも遺伝子による素質の影響をかなり強く受けているところがある話した。

これも行動遺伝学の知見ですけど、人間の遺伝子群をスコア化すると、遺伝子の違いだけで、上位25%と、下位25%で、環境や努力の影響を完全に無視しても、アメリカでは大学進学率に4倍も開きがあることがわかった話したんだけど。人間の子供は場合によっては、知的障害あるいは境界知能で生まれてきたりすることもあるし、もともと個人差もすごく大きいので、受験で測定されるような知能というモノサシだけで、努力だけをよりどころに長時間、生存競争するのは、どうみても、良くない話したんだけど。

この前、チャットしてたら中学生の女の子が紛れ込んできたんですけど。

「恵まれた環境にいるはずなのに、虚無感がひどくて、人生を少し休みたい。」なんて言ってる人がいたんですけど。そんなにしんどいなら、しばらく休憩すれば?って話したんですけど。「やらなきゃいけないことがいっぱいあって休むことなんかできない」って言ってたんですよね。自分が希望するものを少し減らしてみれば、やらなきゃいけないことも減るんじゃないの?って聞いたら。「希望なんか何も持ってないのに、やらなきゃいけないことが減らない。」なんて言っていて、話聞いていたら「親の期待に応えなきゃいけない」とか思ってる子どもらしくて、「親に迷惑かけられない」ということで、それだけで、めちゃくちゃ多くのことに取り組んでるんですよね、で、ひどい絶望と虚無感に襲われて、夜になると、消えたくなるとかいうことだったんですけど。

いや、子供に対するこういう無理強いって、自分も認識しているのは、成績トップの人が突然最下位になるとか、精神を病むとか、自殺、親殺し、子殺し、何が起きるか分からないわけですよ、って話したんだけど。

何が恵まれているのかわからないけど、どれだけ立派な豊かな家の子どもでも、自らの意思によらずに、大量の課題を前に努力ばかり過激に強制され続けたりすれば、病むか自殺することに繋がりかねませんよ、って話なんだけど。

子供本人は自分が悪いと思ってるんですよね。恵まれているはずの自分がこんなにも苦しいなんて、わがままだと認識して自分を責めているみたいなんですけど、そういうのって、あの年齢の子どもには、自分がどういう経緯で、どういうメカニズムでそのような心理状況に陥って追いつめられているのか、本人自身では自己診断できないんですよね、って話して。

マスターは、かわいそうですねーーーー、現代ってそういう子どもすごい多いんでしょうねーーーーって話していて。

しかも、誰かの期待とかって、応えても、もっと大きな次の期待をすぐにかけられるとか、あるいは、期待に応えたのに、本人から妬まれるただけだったとか、そんなことすらあるわけですよ、って話して

マスターは、それじゃぁ、踏んだり蹴ったりですね、って言っていて。

私立中学受験の話に戻りますけど、私立中学受験なんかしても、親が思い描いているような、「いい大学→いい会社」でやっていける人なんてそんなに多くない話とかして。まずいい大学に入るだけでも大変ですし、仮に名門大学に行ったとしても、2割くらいの人は非正規雇用になるわけですよ、8割の正社員組でも、いい会社ばっかりに行くわけでもないし、、今は、会社に入っても3年以内に3割くらいの人は辞めるんですよね、だから、親の「いい会社に入れば子供は幸せなはずだ。」これ自体幻想なのにも関わらず・・・・・。

まぁ、そんな話をしていたら、マスターは、以前ここで働いていたジュンちゃんの話してた。彼女は、当初は中学教師になるために勉強していた学生だったのだけれども、教育実習で、モンスターペアレントに苦しむ現場の教員を見て、志望する進路を変えて、ブライダル関係の仕事を3年やった後、辞めてどこかに消えた話してた。

そしたら、今お手伝いしている看護学生の子が話に入ってきて。モンペ(モンスターペアレント)の子どもとかすごい可哀そうとか言っていて。子供がめっちゃいじめられるって言ってた。あとスピーカーって親もいるらしい。その親が知ったことは、ぜんぶ全員に話されて、みんな知ってることになるらしいんだけど、それだと子どももいじめられてるってことだった。

モンスターペアレントってなんなんでしょうね、台湾の親なんか全員、過激なモンスターペアレントみたいですよ?ってマスターが言っていて。

自分は、それは恐らく親の学歴が関係している気がしますけど、特に私立大学なんかは教育機関というよりサービス業的な雰囲気あるじゃないですか、自分のその頃の経験の記憶だけで、公立の小中高などの学校教育の常識に向き合うと、納得のいかないことが多くてモンスターペアレント化するのではないかっていのと。ああういうのって、本人はモンスターとの認識はないんですよね。自分とその子供はあくまで学校や教師の被害者であって、自分と子供のために、自分が言っていることは正しいという立場な話して。

あの問題は今ではすごくありがちなんだけど。
マスターは少し静かになってしまったけど。小中学校とか昔は先生は聖職者で権威が信じられていたじゃないですか、先生がどんなことやっても、親は「ちゃんと学校の先生のいう事をしっかり聞きなさいね。」そういうことであればモンスターペアレントなんてことにならないですが、自分が40歳のときに、25歳の先生が何か未熟なことを自分の子供にしたときも、聖職者の権威を信じてない親は、すぐ怒ることになるので、その辺が現代と昔の違いだと思うんだけど。

あとは、その看護学生が封切り映画の話をしていて。
原爆を開発したオッペンハイマーって人の映画がやってたって話してた。
暗い映画で寝ちゃう、ってその子は言ってたけど。
マスターは、アインシュタインは原爆開発には殆ど関わってなかったけど、原爆投下された日本に謝りに来てた、って話してた。E=MC2乗だっけ、それ発見したけど、直接には関わってなかったけど、自分の発見が応用されているからね。
でも、兵器ってすぐに最新の科学技術が軍事に応用されて、圧倒的パワーで他者を制圧するのは今でも重要と考えられているから、例えば、ドローンとか無人爆撃機とか、今で言うとそういうのも、どんどん戦場に投入されているから、原爆の開発者だけがどうのこうのってわけでもないんでしょうけど、って話。

看護学生の子は、ドラえもんの話してた、今の子はドラえもん見ないって。

まぁ、時代によって漫画のテーマも変わるけど、ドラえもんの頃は、科学技術の発展を、宗教のように信仰していたような時期だったので、ああいう漫画が描かれたし、努力が信仰されていた時代は、あしたのジョーとか巨人の星とか、漫画も時代時代の趨勢がある話とかして。

まぁ、そんな話とかして、食事が終わったので帰りました。