一週間後、検査を受けた病院で検査結果を聞きに
「こんにちは。検査の結果なんですがね…。
腺腫じゃなかったんですよ。ポリープではなく、腸の粘膜なんです。悪いものではありませんでした。」
「ということは、FAPではない?」
「断言は出来ませんが、FAPではない可能性が出てきました。ただ、大きいものも沢山あるので、中には腺腫があるかもしれませんし、これだけ沢山の腺腫様ができることは普通ないので、診断確定のためにやはり大きな病院へ紹介させてもらいます」
という流れで、私が通院している病院の消化器内科を受診することになった。
一週間後に紹介された病院で受診すると、もう一度、内視鏡検査をしてみましょうとなり、夫は3週間の間に二度の内視鏡検査を受けることとなる。
この時、夫はCT検査も受けた。
検査の日は、たまたま私の乳腺外科の診察日だった。
私の診察が終わって夫の元へ向かうが、まだ検査に呼ばれていなかった。
ようやく夫が呼ばれて、検査室に入っていく。
ここの病院は検査室の前にある待ち合いの椅子から、カーテンで仕切られた検査室をみることができる。
夫は一番手前のカーテンに入っていった。
話す声も聞こえてくるが、何を言っているのかはよくわからなかった。
そのうち、何人もの先生?技師さん?が夫のいるカーテンを覗きに来る
「初めて見ました」
「前の病院で一度だけ……」
なにやら不穏な言葉が聞こえてくる
私は一気に不安になる
「お!本当だ!消えちゃいますね」
「わっはっはっははー(笑)」
わ……笑ってる!?
和やかムード!?
どういこと!?
聞こえてくる声に、私の頭には❓が飛んでいた。
検査が終わった夫がカーテンから出てきた。
着替えの為に向かいの部屋へ戻る途中
私に気がついた夫は
👍のジェスチャー
頭に❓が飛んでる私には、何のグッドなのか予想もできない
着替えがすんだ夫が手招きをする。
先生のいる部屋に夫と一緒に入った。
先生と挨拶を交わし、本題に入る
「ご主人は腸管気腫症です」
腸管気腫 抜粋
「腸管気腫症」または「腸管嚢腫様気腫症(ちょうかんのうしゅようきしゅしょう)」といわれる消化管壁内に多数の嚢腫様気腫が認められる「症候群」
腸管壁に気体が入った袋状の出来物ができた状態
例えば、癌やポリープならば、腫瘍の中に細胞がギッシリで、この細胞が悪い方に変異してしまうと悪性になるわけですが、この「腸管気腫」の場合は中には気体が入っているので悪性も何もありません。
大腸内視鏡検査で発見されることがありますが、この「腸管気腫」は本当に稀で。私の病院でもまだ5例程度しか見つかっていないので、おおよそ1万分の1程度の確率の希少所見と言えるでしょう。
まだまだ未知の部分が多い「腸管気腫」症候群ですが、基本的に治療は不要です。濃度酸素療法・高圧酸素療法・漢方や絶食と点滴などで治療することも文献的にはあるようですが、実際には自然治癒してしまうことが殆どです。
https://lala-clinic.jp/article.php/20150917003333128
腸管気腫?
聞いたこともない病名だが、考えていた最悪の事態は避けられた
全身から力が抜けた
「よかったぁ……」
「だから、結果がでるまで心配するなっていったじゃん」
「念のため、一年~二年に一回くらい内視鏡検査してもらえば、治療もいりませんよ。念のため一つとりましたが、粘膜だと思うので結果は郵送しますね」
ということで
夫は難病ではなく希少所見の良性疾患でした。
途中聞こえてきた話は、あまりに珍しいので、色んな先生方が見物にきていたようです。
そして、笑い声は、内視鏡の鉗子でつまむと空気が抜けて突起物が消えてしまうので、それが面白くて笑っていたようです。
紛らわしい💢💢💨
もちろん、郵送されてきた結果には良性の文字
ここ数週間、本当に生きた心地がせず、数ヵ月前に経験した、あの奈落の底に突き落とされたような気持ちの再来
逃げたい
逃げられない
もう嫌だ
なんでこんなことばかり起こるんだ
辛い
苦しい
たぶん、鬱っぽくなっていたと思います。
心配いらない疾患とわかり、ようやく精神状態も元に戻りました。
夫との仲も、いつものお友達夫婦に戻れました(笑)
難病かもしれないと、家族性大腸腺腫症を調べ
世の中には、知らないだけで色々な病気があり、大変な思いをして闘病している方がいることを知りました。
でも、難病指定されていないから公的機関からの補助などもなく、金銭的にも負担を強いられている。
何ができるのかわからないけど、こんな病気もあるって知ってる人が増えたら、何かのきっかけで署名運動に参加するとかできるかもしれない。
と、おこがましくも思い今回記事にさせていただきました。
現在闘病されている方に、ご不快な思いをさせてしまったら申し訳ありません。
自分が病気になった立場の時は、負けない!とか治す!とか前向きになれる時もあったけど、家族がその立場になったとき、自分のこと以上に辛く、不安で、前向きになんてなれませんでした。
夫は、私とは違うタイプの感性の持ち主なのでこんな風に思わなかったかもしれないけど、あの時、私のことでこんな風に家族の誰かの心を痛めてしまっていたかもしれないと、改めて申し訳なく思いました。
私の乳がんは、手術や抗がん剤や放射線を経て、運良く根治へ向かっています。
そして、夫も治療が必要ない疾患でした。
治療の必要がなく、毎日を普通に当たり前に過ごせると言うことが、本当に奇跡
当たり前が当たり前じゃない
家族が健康で、無事に過ごせている幸せ
感謝を忘れちゃいけない
常に心にとどめておこう
と、改めて思う出来事でした。
5回に渡り、お付き合い頂いた皆様
ありがとうございました🙇
明日からは、また乳がんの経過、くだらない小話に戻ります!
よろしくお願いします🙇