昨日、髪が生えてきたことが嬉しかったので、
マメタの散歩に来てくれていた実家の父に
みて~!!
生えてきた!!
と、嬉々として報告をした。
父は
そうなのか!?
いや!こりゃすげーな!!
本当に生えてきてる!!
すごいな!!
と、娘のハゲ頭をみて、とても喜んでくれた。
良かったなぁ。
ホントに……
ほん…本当に…ぐすん…
ひっく…よっ…
……よかっ……た…ずびっ
父、号泣。
それをみて、私も号泣。
父の頭は、おハゲ。
おハゲ頭が二人で肩寄せあって号泣。
感動的場面なはずなのに、なんとも滑稽な二人で、つい笑ってしまった。
父は昔から涙もろい。
だから、がんになった時、子供達に伝える以上に、実家の両親に伝えることが、本当に辛かった。
我が子が、がんになってしまうなんて、想像するだけで苦しい。
それを伝えることが、両親をどれだけ悲しませるんだろう。と思うと、なかなか報告に行けなかった。
数日間、悩んだ。
悩んだが、伝えないわけにはいかない。
泣き虫な父は、きっと号泣するだろう。
その姿を想像すると、胃がズンと重かった。
できるだけ、明るく。
治療すれば治ることを全面にだして伝えよう。
実家に一人で行き、二人に伝えた。
私、乳がんになっちゃったんだよ。
18日から治療が始まるんだ。
抗がん剤で、先にがんをやっつけるんだって。
手術は夏頃だって。
助けてもらうこと増えちゃうけど、まだ死んじゃうとかじゃなくて、全然大丈夫だからね!!
私、ちゃんと治すからね!!
勢いに任せて、一気に説明した。
母は、思い込みが激しい暴走機関車タイプ。
母から、マシンガンの如く質問の嵐。
その間、父は黙っていたが、肩はがっくりと下がり、うつむいた先の畳に、ポタポタと涙が落ちた。
…なんで、はみこが…
なんで…
なんで…こんな目にあわなきゃいけないんだ…
父からこぼれる涙と言葉に、私も我慢できなかった。
ごめんなさい。
心配かけて、ごめんなさい。
涙と嗚咽で、ごめんなさい、としか言えなかった。
いつも気丈な母も、静かに涙を流していた。
父が、ポツリと
親より先にいっちゃいけねぇ。
それが一番の親不孝だから。
それだけはやめてくれよ。
と言った。
私も、
じゃあ、二人とも長生きしてよ!
そしたら、私も長生きになるじゃん!!
と、強く伝えた。
それからしばらく、父は落ち込んでしまった。
ため息をついては、なんでだろうなぁ…
と呟いては、なんではみこが…と泣いていた。
と、母が教えてくれた。
とても、胸が痛んだし、申し訳ない思いでいっぱいだった。
母から、前向きに頑張る娘を応援しなくてどうするの!!と渇を入れたらしく、それ以来、泣き虫な父は出てこなくなった(笑)
父は、私に会うと
大丈夫か?
とは言わない。
代わりに、
調子はどうだ?
と、言う。
私は、この言葉が大好きだ。
大丈夫か?と聞かれたら、大丈夫じゃなくても大丈夫とこたえてしまう。
でも、調子はどうだ?と聞かれると、ここはいいけど、ここはダメ。と素直に言える。
40も越えて、すっかり大人になったつもりでいたが、父が毎日来てくれることが嬉しい。
散歩から帰ってきたマメタを拭いている、ほんの15分位だけど、くだらない話をして笑いあって、子供のように甘えている。
両親が健在してくれていることに、本当に感謝したいし、こんなにも愛されていたんだなぁと親の愛を再確認した。
だから、もう、悲しませたくない。
絶対に、治そう!
照れ臭くて、言えないけどね。