ジャニーズ問題以外にも課題山積?

筆者撮影

 いよいよ第74回NHK紅白歌合戦の放送が迫ってきました。表向きはリハーサルも終わり、あとは本番を待つばかりかに見えますが、NHK内外の関係者からは「異変」を指摘する声が元職員である筆者の元に多数寄せられています。ジャニーズ問題が弾けた今年の紅白、舞台裏で何が起きているのでしょうか?

   私が最初に違和感を抱いたのはリハーサルの日程でした。というのも、通常なら12月28日から開始されるのが、今年は29日からと1日後ろ倒しだったからです。

NHKは特に理由を発表していないので、あくまで取材に基づく推測ではありますが、通常よりも制作進行が遅れていたことが一因とみられます。

 

 

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では、なぜ遅れが生じているのか? 

ひとつにはジャニーズ問題の影響です。NHK的には一連の問題が弾けたことは当然想定外でした。ジャニーズ枠の消滅の影響でブッキングに混乱が生じ、出演者と演目を確定させるのに苦労したことは最大の要因のひとつと言えるでしょう。

 

NHK関係者の間では、「韓国祭りになるのではないか?」と秋口から指摘されていましたが、海外アーティストは調整すべきことが国内よりも多いですので担当者も骨が折れたことでしょう。

 

 最近は当日生出演が難しいアーティストも多いので、事前のVTR収録で対応するアーティストは今年も多数に上ります。生放送も大変ですが、強行軍での収録と編集もまた手間が掛かります。特に紅白の場合は、5.1チャンネルのサラウンドのため、音声の仕上げ編集(ポストプロダクション)が通常の番組よりも時間を要するはずです。

 

現在の紅白は「VTR」が要

夜のNHKホール(筆者撮影)

 さらに、タイムテーブルを見ていくと他にも理由が伺えます。

ディズニー関連や、アニメ関連の企画が多数並んでいることに皆さん気づかれるのではないでしょうか?

近年の紅白に共通することですが、「家族視聴」による世帯視聴率の獲得を意識したために、親子で楽しむ前提のコンテンツを強化しているからだと考えられます。

実は、NHKでも、一般番組はすでに個人視聴率や年代別の視聴率を指標としていますが、紅白は別。

紅白の世帯視聴率=NHKへの国民の支持率のようなものですので、今年も不祥事が相次いだNHKにとってはなんとか失地回復したいのです。

 

 

 ただし、この手の「版権モノ」は制作者からすると、これまた厄介なのです。バックのスクリーンやインサートで流すVTRまで作りこまなければならない上に、全カット権利元の許諾を適切に取得しなければ放送できません。出版社から「社名をテロップで入れてほしい」「〇〇万部発行と入れてほしい」といった細かい要望が出ることもあります。昨今はNHKプラスを始めとするネット配信もあるので、権利処理やテロップの確認作業を考えただけで私なら卒倒しそうです。

 

私が見積もった限り、今回、少なくとも50本ほどは紅白当日用にVTRを制作しています。紅白といえば、生放送での生歌、セット転換等のステージ演出がウリだったのは過去の話。乱暴な言い方かもしれませんが、現在の紅白はVTRが要と言っても過言ではありません。

 

 だからこそ、「エイヤッ!」でリハと生放送本番で一気に仕上げることも難しくなり、スケジュールが遅れているのでしょう。

 

 これだけのイレギュラーが重なった今年の紅白、NHK内部からは「今年は放送事故が起きるんじゃないかと心配だ」という声も私の元に来ていますが……。

 

 後編『韓国アイドル&アニメのVTRに受信料を大量投下! 異例の「紅白歌合戦」で「音楽の力」をアピールするNHKを元職員が痛烈批判「ひとときの日本の宴で世界は変わるのか?」』に続く…

 

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