真っ白な息を吐きながら
それよりも、もっと真っ白なドレスに包まれて
小さな命と一緒に笑っている彼女、さっちゃん。
彼女のことを初めて知ったときは
こんな姿をしてしんちゃんの隣にいるだなんて
想像もつかなかった。
６～７年くらいも前のこと。
しんちゃんと私は同じ居酒屋でバイトしていた。
バイト仲間は40人近く。
仕事しながらもお互いに近況報告や他愛もない会話をし
時に社員の人に怒られるのが日常だった。
そんな何気ない日常のヒトコマを今になってふと、思い出した。
『オレ、彼女できてん。』
オーダーされたドリンクを運ぼうとしながらの
しんちゃんからの突然の報告だった。
『また！？』
まだ彼のことをそこまで深くは知らなかった私は
彼のことをーちょっとヤンチャな人ーと思っていた。
『いや、今回結構本気やで。
夜中突然告白したくなって、俺そのままその子の家まで
告りに行ってん。』
『で、イケたん？』
運ぶはずのドリンクなんかそっちのけで
息もつかずに少し興奮気味に話す彼の顔は
今でもハッキリと覚えている。
それが彼女のことだった。
その日を境に、しんちゃんのさっちゃんとのノロケ話は始まった。笑
誰かが彼氏・彼女の話をしだすと
『さちやってなぁ…』
いつの間にか自分の、いや、さっちゃんの話に切り替えてしまうほど
恋愛話をするたびに
『さち、さち、』
ってばっかり言っていた気がする。
実際彼女に会ってみると、おもしろいのにどこか落ち着いていて
余裕があるように見えてとても魅力的な人だった。
そんなさっちゃんと話していると私まで癒されて
すぐにさっちゃんのことが大好きになった。
それから月日は流れてバイトを卒業し
みんなそれぞれの道を歩き出した。
いつでも会える環境ではなくなると同時に
あんなに頻繁にしていた近況報告も疎らになった。
しんちゃんともいつの間にか疎遠になってしまっていたときのこと。
二人が別れてしまったことを聞いた。
人伝いに聞いたものだから理由など聞くこともなく
ただ私もさっちゃんのこと大好きだから
理由なき'寂しい'感情だけが残っただけだった。
それからまたしんちゃんや他の仲間とよく会うようになった。
恋話に花を咲かせることもあり、楽しい時間を過ごしていたが
しんちゃんがあの頃のように誰かのことを夢中になって話すことはなく
私は心の中でこの輪の中に彼女がいないことに対して
違和感を増すばかりだった。
付き合ったり別れたり、男女の仲は当人同士にしか
わからないものであって
決して第三者が入ったからといって幸せになれるものではない。
そう思うからずっと黙っていたけれども
私はひそかにずっと二人の今の姿を待ち望んでいたように思う。
と、こんな風に私の中で勝手にだけれども
二人に対しては何年分もの想いがあるから
結婚の報告はすごく嬉しかったし
年末に二人の新居へお邪魔させてもらったときも
心底嬉しかった。
日曜日はそんな二人の結婚式。
どれくらいぶりだろう？
て面子もいて、何はなしたらいいんやろう？
って恥ずかしさもあって
(意外やろ？？実はそうだったんです。)
『これは飲まなくちゃやってられない！！』
私は緊張のあまりお酒をたらふくいただいていました。
ほどよく酔っ払ってきたころに
一枚の封筒を預かりました。
しんちゃんのお母さんのお手紙です。
さっちゃんからのサプライズプレゼントだそうです。
二人のことほんまに大好きで結婚めっちゃ嬉しかったから
こんな大役、正直あたし手をあげて立候補してでもやりたいねんけど
もう酔ってるねん！！！あと10分くらいしかないやん(読むまでに)！！
手紙の内容はしんちゃんのお母さんらしく笑いエピソードありの
可愛らしい内容でした。
でも間違えないように何度も読むうちに
行間に込められたお母さんから二人への
たっぷりの愛情と想いがいっぺんに伝わってきて
さらにこの手紙を読む前に流れていたのはしんちゃんとさぅちゃんの
二人のなれそめDVDで。。。
手紙はちゃんと読めたけど
号泣しました。
ちゃんと読めた安堵感とDVDで感動したのとお母さんの気持ちが伝わったのとがいっぱい入り混じって
ボタボタ泣きました。
誰か知らないマニアな人がそんな私の顔をド・アップで撮ってたけど
涙は止まらず
その後もひたすら飲み続けました。
チャンチャン
注意※さっちゃん、しんちゃんは仮名です。あしからず。。。
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