街を歩いていて、
「すみません、東京駅に行きたいんですけど、どうすれば一番近いですか?」
と尋ねられたとします。
あなたなら、何と答えるでしょうか。
ある心理学の実験によると、別の仕事を抱えている人は、
道端で困っている人を見かけても、声をかけることなく、
冷たく通り過ぎてしまうことが明らかにされています。
私たちは、自分のことで忙しいと、
困っている人に対して、やさしい援助の手を
差し伸べることをしなくなってしまうようです。
この時、あなたに相手に対する思いやりがあったら、
「東京駅のどちら側ですか? 丸の内側ですか? 八重洲側ですか?」
と自然に聞き返すでしょう。
東京駅の構内は、非常に広く、間違った出口に出てしまうと、
目的地まで○○キロも歩くことになってしまうからです。
相手が大変な思いをしないように、
なるべく目的地に近い方法をお教えしたい
と思うのが、思いやりのある人のやり方です。
この質問の答えとして、
「山手線に乗ってください」
とだけ答えても、一応は正解です。
山手線に乗っていれば、そのうちに東京駅に着くのですから。
しかし、これは非常に思いやりに欠けた答え方です。
部下に機械の操作を尋ねられた時にも、「キャビネットに説明書があるから、自分で調べ
られるよ」という答えは、間違いではありません。
しかし、この答えにも、やはり思いやりが欠けています。
あなたが自分のことに忙しい場合は、「キャビネットに説明書があるよ。
たしか、50ページに操作のやり方が出ていたから、その通りにやってみて。自信がないなら僕が直接に教えるけど、今は手持ちの仕事が忙しいから、後でいいかい?」くらいの答え方はしてあげたいものです。
何かを尋ねてくる人は、普通、不安でいっぱいなものです。
そういう不安のある人には、親切にしてあげるのが仁義というものでしょう。
思いやりとは、温かさ、同情、気くばりなどを合わせたものです。
色々責任のある仕事を任せられて、何かと忙しい30代の人は、自分のことで手一杯で、ともすれば相手に対してついつい思いやりに欠けた、冷たい言動をとってしまいがちです。
これには、十分に気をつける必要があります。
「俺は忙しい」ということを言い訳にして、他人に対して冷たくするのは、人としてたいへん情けないことではないでしょうか。
どんなに忙しくても、困っている人には、喜んで援助できるくらいの思いやりと余裕は持ちたいものです。