35番と41番の当たり札を持った巫女は、喜びを噛みしめ、手を震えさせているが、それ以上の喜びの表現は一切しない。静かに座ったまま。選ばれなかった巫女達への配慮であろう。
「35番と41番の方、どうぞこちらへ」
と司会の神職に促されて、静かに立ち上がると、祭壇の前に行き、一礼した。
その後、居並ぶ巫女達の方を向いて、
2人は、お辞儀をしてから、
「この度は、神の思し召しにより、人身御供に選ばれました美伽と申します。全力でお役目を果たしますゆえ、何とぞ、最後まで、お見届け下さいませ」
「私は、香世と申します。美伽さんと共に、奉納舞の儀、しっかりやりとげますので、よろしくお願いします」
と、挨拶した。