新隠れ宿Ⅲ~11突然、舞が止まった。2人は、向かい合って、膝立ちで座っている。見つめ合う2人。やがて、静かに腰を落とし、膝を開いて、姿勢を安定させた。「小百合、これって、切腹よね」「本当にやるのかしら?」「やると思う。階の脇にある2つの木の箱、あれ、棺じゃないかな」「そうかもしれないね。本当の切腹しちゃうんだ・・・」2人の巫女は、ほぼ同時に、刀の切っ先を左下腹に押し当てた。一瞬の静寂。2人の小さな背中が、僅かに揺れると、白いお腹が、みるみる赤く染まった。