大恋愛が成就し、新婚ホヤホヤの家庭ならば何が起きても楽しいとしたもの。しかしながら多くの夫婦は、ある日突然倦怠期を迎えてしまう。昔ならば夫婦揃って家でご飯を食べるのも楽しかったはずだが、次第に旦那が平然と『おい、めし!』とぶっきらぼうに言ってくるのに嫁さんは腹が立ってくる。だったらお前が自分でご飯ぐらいよそえ!と言い返したくなるだろう。
なんだか味気ないタイトル名が付けられていると思う人も多いと思うが、今回紹介する映画めしは前述したように夫婦のやり取りの言葉がタイトル名の基になっている。
旦那だけが何だか楽しそうに見えてしまった奥さんが取ってしまった行動とは?それではストーリーの紹介をしよう。
東京から夫の初之輔(上原兼)の転勤が切っ掛けで大阪に引っ越してきた三千代(原節子)の夫妻だったが、大阪に来てからは倦怠期を迎え、ことあるごとに口喧嘩が絶えない。特に三千代は普段は家事ばかりに追われて毎日を苦痛に過ごしていた。
ある日のこと、初之輔の姪である里子(島崎雪子)が家出をし、東京から1人でいきなりやってくる。どことなく初之輔と里子が楽しそうにしているのに不満を更に募らせた三千代は里子を東京へ帰すことを口実に東京の実家へ帰ってしまうのだが・・・![]()
結婚して5年目を迎えて離婚のピンチ。期限を決めずに東京へ帰ってしまう三千代だが、実家での暮らしは非常に気楽な物。しかしながら三千代はかつての旧友がシングルマザーになっていたりするのを見て、少しづつだが心変わりをしていく。不満ばかりの結婚生活だったが、実は案外自分は恵まれていたのではなかったのかと。
結局のところ、夫婦って何だろう。更に言えば人生って何だろう。幸せと言うのは、日常が当たり前のように過ぎていくことなのかもしれない。
ちょいちょいユーモアがあったりで、不思議と暗さはない。どちらかと言えば起伏が少なく、淡々と描かれているが、観終えた後に『あ~人生って、こんなもんだよね』と思わさせる映画。
日頃不満を募らせている人、離婚のピンチに陥っている夫婦、昔の大阪の風景を見たい人等に今回はめしをお勧めに挙げておこう![]()
監督は成瀬巳喜男。浮雲、驟雨と見ましたが作風は違うがどちらも傑作でお勧め![]()
