息子がいる父親にぜひ見て欲しい映画が今回紹介するジョン・Q-最後の決断-。格差社会のアメリカにおける社会制度の矛盾や金持ちの傲慢さが腹の立つ作品だ。
この映画を本作の主人公と同様に貧乏で一人息子がいるお父さんが見たら、非常に居た堪れない気持ちになるはずだ。放っておけば今すぐにでも死にそうになっている息子を助けるために常軌を逸した行動をとってしまうお父さんを黒人の名優デンゼル・ワシントンが演じるが、もしも彼と同じ立場に立たされたら同じような行動を起こすお父さんがいるかもしれない。
我が国ニッポンもアメリカと同じ社会制度の歪みが出ているのではないかと思わせるストーリーの紹介を。
アメリカ、イリノイ州シカゴにおいて。ジョン(デンゼル・ワシントン)は最近正社員からアルバイトに格下げされて、貧乏な暮らしを強いられている。毎日新聞を見て副業を探そうとするのだが、面接で落とされてばかり。そんなジョンの唯一の楽しみはマイク(ダニエル・E・スミス)の存在だ。
ある日のこと、マイクの少年野球の観戦をジョンと妻デニーズ(キンバリー・エリス)としているとマイクが走塁中に意識不明のまま倒れてしまう。ジョンは慌ててマイクを地元の病院に運ぶが、マイクの病気は一刻を争う心臓の病気で心臓の移植手術が必要だった。
しかし、そのためには高額の費用を払って名簿に載せる必要があり、しかも手術の費用が想像を絶する高額な費用を要すことを病院側から指摘されてしまう。しかも、このまま何もしなければマイクは死を待つだけなのに、カネの支払いを出来ないことを見越した病院はマイクを強制的に退院させようとする。病院側のやり口に憤りを爆発させてジョンは医師や患者を人質にして病院を占拠する行動にでてしまい・・・![]()
人名よりも金持ちを優遇する病院や保険会社の態度に腹が立つし、弱者を救おうとしない制度を構築してしまう政治家にも腹が立つ。弱者の命を守ろうとしないアメリカの医療や保険制度の矛盾が描かれている。
そのような社会派的な面を描きながらも、刻一刻と迫ってくる息子の死のタイムリミットとジョンが立てこもる病院を包囲する警察との戦いがスリルがあり、楽しめる娯楽映画になっているのが良い。
冒頭でいきなりショッキングなシーンから始まるのだが、その伏線もばっちり回収する手際よさもポイントが高い。
日本も長引くデフレというよりも政治家によるデフレ政策のお陰で、すっかり格差社会になってしまっいる。本作はアメリカが舞台だが、日本も同じような道を進んでおり弱者が切り捨てられている社会になってしまっている。特に俺のような貧乏人は本作を他人事として観ていられなかった。
相変わらずナイスガイな男を演じるデンゼル・ワシントンを見たい人、格差社会の問題点について考えたい人、社会派と娯楽がマッチした作品が好きな人に今回はジョン・Q-最後の決断-をお勧めに挙げておこう![]()
監督はニック・カサヴェテス。恋愛映画の傑作きみに読む物語、キャメロン・ディアズ主演の私の中のあなたがお勧め![]()
