原田竜一郎と建築ブログ

原田竜一郎と建築ブログ

建築に精通した原田竜一郎のブログ。

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町内会の同僚原田竜一郎は建築にとても詳しいです。彼が勧めるモデルルームに行くため、私鉄に乗って2つ目の駅で下車します。市内ですので地図で見る限り生活必需品に困るような事はないでしょうが、一応ここでも原田の教え通り、確認しながら現地へ向かいます。駅から5分ぐらいですが、その間にほとんどのものがありそうです。ドラッグストア、スーパーマーケット、銀行、郵便局…どれも問題なさそうです。かなり密に住宅地が立ち並ぶ真ん中にモデルルームがありました。ここでも受け付けで簡単なアンケートを記入後モデルルームへ入ります。


まず外観を確認します。カタログにあったように、黒が基調になっています。そして玄関の扉はシルバーです。アルミ?でしょうか。それっぽい質感です。縦に5つの小さい採光窓が並んでいます。ちょっと近未来的な感じがします。そのちょっと近未来的な扉を開けて玄関に入ると、外観とは正反対の薄いベージュで柔らかい感じです。


「あれ。イメージが全然違うぞ。」


原田もちょっと意外といった感じです。少し進むとありました吹き抜けの大きなリビング。ただ階段はら旋状じゃなく、リビングの隅っこに直線的に設置されています。周囲の壁はほぼ白に近いベージュ。そこに階段の踏み板は真っ黒なラバーですから大きなアクセントになっています。滑ることのないラバーですから安全面にも配慮されています。吹き抜けの上からは長いケーブルで3つの大きな電球がつり下げられています。これがまた雰囲気抜群。原田も、


「センスいいねぇ。」


リビングの片隅には、3畳ほどの小さな部屋があります。カタログによるとキッズルームということです。少し段差があるようですが、その下は収納用の引き出しになっています。家族と一緒に住むことを真っ先に想定する原田は、これも気に入っているようです。


キッズルームの対角線上逆側には収納を考えられたキッチンスペースです。2Fに上がってみて最初にあるのは、子供用の2部屋です。壁は一方は薄ピンク色、他方は薄紫色です。間仕切りによって2部屋に分割されてはいますが、子供が巣立った後間仕切りを外し大きなひと部屋として使うことも可能だそうです。原田の顔をのぞき込むとやはり満足がいったという表情です。


「だいぶ気に入ってそうだな。」
と話を振ってみると、
「めっちゃいいやん。」
と若干興奮気味です。
「それより早く嫁を見つけろよ。」
と自分。
「わかっとるわ。」

先日久しぶりにバッティングセンターへ行きました。いつもの高校野球部出身3人組と大阪の都心にあるいつものバッティングセンターです。3人とも残業が入ることのない水曜日の夕方6時バッティングセンター前に集合です。受け付けでお金をコインに替え、手にマメができるのが嫌なので軍手も借ります。平日の夕方は、土日祝以外ではバッティングセンターにとっていちばんのかき入れ時の時間帯で、この日もすぐに打席に入ることが出来ず空(あ)くのを待ちます。


「今度のモデルルームは近場の大阪で行くぞ。」
建築好きの原田竜一郎は会うなりいきなり建築の話です。
「そうか。任すわ。」


このバッティングセンターでは120km/hでストレートの打席が最速で、3人ともそこをねらっています。すぐにその打席が空(あ)いたのでまず一番手に原田竜一郎が打席に入ります。パーン。最初からしんをとらえたジャストミート。2球目。パーン。同じくジャストミート。


ほとんどのバッティングセンターが軟球を使用しております。軟球を金属バットでジャストミートするとゴムまりをたたいたような“パーン”といった音に聞こえます。3球目もジャストミート。彼の現役時代は4番でキャッチャー、今もその腕前は全く衰えを見せておりません。9割方ボールのしんをとらえます。25球で1ゲーム終了。1球1球フルスイングする彼の息は上がってはいますが、23球がジャストミート、そのうち3球はホームランの的に当てています。
「相変わらずやるなぁ。」


そう言いながら自分がバッターボックスに入ります。1球目はボテッ。2球目はつまったフライ。7番セカンドだった自分はこんなもんです。続いて阿部。ボテッ。ボテッ。当たりそこないの音ばかりです。阿部は9番ピッチャー。自分とほとんど変わりません。原田が相変わらずすごいのに感心します。


しかも某国立大学卒で公務員試験に合格後今では某市役所勤務というエリートコースです。しがない会社員の自分と阿部が、ひそかに彼のことを尊敬しているのは言うまでもありません。次に原田はこのバッティングセンターで最も球速が遅い80km/hの打席に入っていきます。


全球ストレートではあっても球速が遅いため、若干山なりのボールが来ます。右打ちの彼はいつも通り左足を上げますがボールがなかなか手元にまで来ないため、タイミングが合いません。あげた左足を下ろすのが早いのです。しかしそこは原田。もう一度今度は小さく左足を上げ、タイミングを合わせます。右方向のジャストミートで鋭い当たりです。ため息しか出ません。

「お待たせいたしました。」
にんにくラーメンが出来上がりました。当然興味はいったんそちらの方へ向きます。まずはおたまで白濁したスープをすすります。こってり濃厚で非常においしいです。次は中太縮れめん。これもスープが絡んで腰も強く抜群の味です。


「そうだビール。」いちばんの酒好きの原田竜一郎(私と同じ高校の教諭で同僚です。趣味は建築物の研究。)がビールの注文をしてなかったのを思い出しました。再び入り口付近の食券機まで戻り、ビール券を3枚買ってきてくれました。お互いのグラスにビールをつぎ合いながら原田が今日見学に行ったモデルルームについて語ります。


「窓ガラスにもこだわりがあるみたい。カタログに書いてあったよ。ガラス面に特殊な金属膜の加工がしてあって、ガラスを突き抜けて入ってくる太陽光の直射熱を遮るらしいんだ。冬場は室内の熱を放出するのを防ぐ機能もあるみたい。夏には部屋の温度が上がりにくく、逆に冬には部屋の温度が下がりにくいってことだ。という事はエアコン代の節約ができる。太陽光の紫外線もカットするって書いてあるから調度品の日焼けや色あせも防いでくれるよね。」さらに原田が続けます。


「それからおれが気に入ってるのは、あの表面が凸凹のタイルね。上からダウンライトを照らすことによってさらにそれを強調し演出してただろ。あれが渋い。」
かなり気に入ってるようです。


「けど5200万やで。」
と自分が突っ込むと、
「そうだよそれ。やっぱり一戸建ては違うわ。」
結局はお金に行き着くようです。


「あんなの買おうと思ったらタバコを1日2箱吸ってる場合じゃないよ。」
原田は結構タバコを吸う方です。
「替え玉いくやろ。替え玉かたで。」


タバコをやめる話をしているときにでも、原田は大好きなラーメンはやめられないようです。替え玉とはラーメンの追加のめんのことを言います。この2玉目のめんを食べるため、1玉目のときスープを飲み干すようなことはしません。わざと残しておきます。


「2玉目を食べる時にこの紅生姜を入れるんだよ。最初の1玉目では味が濃いから入れる必要は無い。」
原田のラーメン講釈です。以前博多出身の人にこの食べ方を教わったそうです。


「今日はどうだった?」
と原田。
「昼間言っただろ。かなり楽しかったよ。」
と自分が答えると、


「また行こうぜ。」
結構乗り気です。どうやらこのイベントは今後も続きそうです。
「そろそろ帰ろうか。」
原田がそう言ったので、今日はこれにてお開きです。もうとっぷりと日が暮れて、周りは真っ暗の中家路につきました。

モデルルームの前で30分程度待っていると、順番が回ってきました。玄関のドアを開け中へ入ってみるとそこは一面れんが色の世界です


。床には大きめの煉瓦(れんが)を組み合わせて、壁は細かいれんがを積み上げたようになっており、上からはダウンライトで凹凸のあるれんがを浮き立たせる渋い演出です。


れんがの表面も奇麗な平ではなく凸凹になっておりかなりリアルです。続いてLDK((居間(リビング)、食堂(ダイニング)、台所(キッチン)が一緒になった一部屋。)に入ってみます。床は淡い色の木目調で壁は落ちついた白色、その壁には大きめの収納ボックスが据え付けられています。


キッチンには土台部に白とれんが色のモザイクをちりばめたようなデザインで、テーブル面が床と同じような木目調になっているカウンターが設置されています。


受け付けで頂いたカタログによるとモザイクタイルと言うのでしょうか、薄めから濃いめで小さめ、正方形のタイルがランダムに張り付けられており非常に柔らかな印象を受けます。本物の天然石が使われているようです。次は2Fへ向かいます。LDKの扉を開けると階段室になっています。


壁はシックな白、手すりは木目調がはっきりとした木が使われています。2Fに上がると6畳の和室がありました。タンスを置くスペースは板の間になっておりふすまは今までの床と同じような木目です。
「渋っ。」
建築好きで目が肥えている原田竜一郎が思わずうなります。彼のことは中学時代から知っていますが、とても珍しいことです。玄関に入ってすぐ一面れんが調で洋風とも言えるイメージから1番上の和室まで、正反対ではあるけれども決して違和感なく共存しています。


しばらく2うんうん人ともこの家の売りであるタイルやれんがを触りながらウロウロしていましたが、もう日も暮れてきていい時間です。
「なぁ。そろそろラーメン食いに行こうか。」
腹も減ってきましたし、自分が切り出しました。
「そやな。」
ラーメン屋に向かうことになりました。そこもラーメン好きでもある原田が調べてくれています。来る途中で下車した駅の近くにあるそうで、とんこつ細めんのいわゆる長浜ラーメンということです。


駅前までバスで20分ほどかけて戻り、バス停からすぐ3分ほどでそのラーメン屋がありました。店の入り口で食券を購入し、カウンター席に2人並んで座り食券をカウンターの上に置きます。
「さぁ今日は替え玉も食うぞー。」
原田は1日中元気です。

私と北村卓、原田竜一郎は大の阪神ファンで仕事の同僚です。原田竜一郞は建築ファンでもあり、おもしろい物を見せてやるとモデルルームに連れてこられました。分譲価格は4300万です。
「お前買える?北村がこっちを向いて聞いてきます。


「4,300やろ。ちょっと厳しいなぁ。」
「これが増税前だったらなぁ。」また北村。
「3%って事は120万ぐらいの差?それ以前の問題や。フェラーリ1台買える金額だぞ。」
先行き不透明なこのご時世に4,000万超は厳しいです。


「原田はどうだ。」
「無理。」原田笑ってます。
「じゃあなんで連れてきたんや。」
「だから勉強だって。」また笑ってます。
「十分勉強になったし、ここはこれで切り上げようか。」と原田。


営業マンによる商談はご辞退申し上げて遅めの昼食をとることにしました。目の前に大型商業施設が見えているので、
「あそこに行ってみようぜ。」と誘ってみました。あるある。たこ焼きからソフトクリーム、うどん屋、蕎麦屋、ドラッグストア、いろいろなテナントが入っています。これが近くにあるのなら生活に困る事はありません。


「あそこのサンドイッチ屋よさげ。」と北村が言うので行ってみることにしました。ハムサンド、タマゴサンド、野菜サンド…色々なサンドイッチがありますが、ここの売りはタマゴサンドだということで3人ともタマゴサンドを食べることにしました。


「しかしモデルルーム見るのって結構楽しいよな。なんか新鮮というか、心洗われるっていうか。」と私が切り出しました。


「そうそうそれそれ。居住空間を変えるのは精神衛生上もいいって言うしな。」原田が嬉しそうに答えます。ふーん、こんな趣味もあったんだ。勉強にもなるし、充分楽しいし。原田に密かに感謝です。北村も思いは同じだったに違いありません。


「今年の阪神どうかなぁ。」原田が急に話題を変えてきました。 3人とも野球部出身だけあって、プロ野球の話は大好きです。


「あのゴメスがなぁ。」オープン戦まるで打てず、4番失格説もささやかれた新外国人ゴメスのことを自分が皮肉ります。


「あいつ途中で帰るんじゃないの。」北村は無責任です。
「昔いたなぁ。グリーンウェル。オープン戦途中に1度帰って、ゴールデンウィークに戻ってきたと思ったら自打球でまたすぐ帰った。」原田は詳しいです。


「いたいた。あいつの再来?じゃぁ春先に帰るんだ。」と北村。
「構わんよ。 8,500万しか払ってない。億もいってない。」自分が言うと、
「8,500って、さっきの家が2件買える。」と原田。
「本当だ。そう思うと腹立ってきたわ。」


ふわふわのたまごサンドを全員が食べ終わったことですし、次のモデルルームに向かうこととしました。

原田竜一郎は自分と同じ職場に勤める同僚です。彼は物覚えが良く休み時間にはいつも建築雑誌を読みふけっています。


そんな彼が先輩である私にお礼がしたいとうことで、お買い得のマンションを紹介してくれると言うのです。今日は一緒にそのモデルルームに来ています。彼の歩きながらの説明によると、全室ガス温水式床暖房が備え付けられており、稼動音も小さく、その上ほこりを巻き上げるようなことも無いそうで、非常に健康的、冬場はほっこりできそうです。


そして廊下の奥右にはトイレと浴室です。浴室は浴槽も壁もすべてが一面落ちついた白色。室中央に大人の上半身と同じ位の大きな鏡があります。この鏡を押し開くとそこは収納スペースになっており、シャンプーなどのバス用品を収納しておくことが可能です。壁際には、太陽の光が入る位の小さな窓が設置されています。鏡の上とその左には黄色く光るライトが付いており大人の雰囲気を醸し出しています。


超微粒子状で視界が決して曇ることのないサウナ、水の微粒子で夏場に楽しめるサウナなど機能的にも豊富。浴室の左には+納戸の納戸があり、さらに窓際に向かって歩を進めると右手にはキッチンです。床は濃い焦げ茶色で木目調の板張りで中央には厨房(ちゅうぼう)施設が備え付けられています。


シンクは静音設計で水音を抑えています。もちろん食器洗い乾燥機も完備で高温のスチームで強力に洗いあげます。自分は食事の時お酒を飲みますので、これがあればかなり楽をできそうです。厨房施設の両わきは大きくスペースが確保されておりテーブルといすが置いてあります。


壁一面が大きな透明の窓で周辺の豊かな緑を臨める最高の眺望です。まるでおしゃれなカフェのようです。窓を開けるとすぐ隣はすぐバルコニーで、生でその眺望を味わうことができます。キッチンの向かい側はリビングになっています。窓の向こうはキッチンから続くバルコニーで、窓も同じく大人の男性より少し大きいぐらいの高さがあります。


壁には40インチぐらいの大型液晶テレビが備え付けられており、床は濃いめの焦げ茶で木目調です。自分が少し興奮しているのは見え見えです。自分が今住んでいるところとはあまりにも違うのです。とにかく豪華、ゴージャスです。最初に素通りしただけのエントランスで今ゆっくり2人で話をしていますが、上にはシャンデリアなんかも付いていて、まるでホテルのようです。いくら都会を離れた郊外とはいえ、3000万ですからなんとお買い得な物件なんでしょうか。

今日は会社帰り友人2人とともに行きつけのうどん屋に来ています。この店は讃岐うどんの名店で、今日もたくさんのお客さんで混み合っています。長田村が、
「讃岐うどんってなんでこんなうまいんかな?」
「やっぱ腰なんじゃないの。」


建築物に大変詳しい原田竜一郎が上機嫌に答えます。またうどんにも非常に詳しい。
「大阪うどんとはまた違う。大阪うどんでこれだけコシのあるうどんは無いもん。ほとんどがもちもちを売りにしてる。」


しばらくみんなで黙々とがっつきました。


「明日の集合は駅前に10時でいいの?」と私が明日のモデルルーム巡りに話を振ります。


「そうやな。9時は早過ぎるし、 10時すぎに電車に乗れば向こうに到着するのがお昼前でちょうどいいんじゃない。でどんな格好していったらいいの?」と田村。


「そんなに高価なものを身につけていく必要もないよ。普通のものを小ぎれいでシンプルに着ていけばいいよ。向こうの営業マンの印象もあるし。」さすがモデルルームに行きまくってる原田。間髪入れずに回答が返ってきます。


「それから、靴は脱いだり履いたりすぐできるものにした方がいいよ。用意されたスリッパに履き替える回数が多いからな。」


そうか。じゃあ上は春物セーター、下はチノパンにスニーカーでいいな。よしこれでいこう。
「写真は撮っていいのかな?」前から思っていた疑問をぶつけてみました。


「撮影禁止のところがあるからな。明日行くところは確認してないけれども、特にカメラを持っていく必要も無いんじゃないの。お前いつもスマホ持ち歩いてるだろ。」確かにそうです。


「お前自身がそこの空気を感じる。それでいいの。どうしても必要な時だけに限ってスマホで写真を撮る。それからメジャーも持っていかなくていいよ。ほとんどのモデルルームに置いてあるからな。」そうか。ほとんど身ひとつでいいんだ。結構楽やな。
「楽だね。」と言うと、


「うん。楽。だから明日は2カ所行くよ。前から行きたかったところが少し離れたところにもう一つあるんだよ。」
「えーっ。2つも行くの。」黙々と食べていた田村が急に声をあげました。


「当たり前だよ。そうやって数をこなしていくんだ。場数をこなしていけば、自然と知識が身についてお前らが実際に購入するときの役に立つんだ。大丈夫。しんどくないって。」


と原田竜一郎。原田がそう言うのでみんな納得。結局2カ所行くことに決まりました。
   


この辺は郊外でバスの本数があまりありません。時刻表を見ながら大学の同級生岡村(職業警察官)が、


「結構バスあるよ。1時間に4本ぐらい。」


1時間に4本だったらまあまあだ。全然不便でもないな。とか思っている矢先バスが到着しました。座席はほとんど空いていたので3人とも座ることができました。バス停を発車後間もなくするとほとんど畑ばかりです。車窓からの景色が単調すぎて会話もなくバス停を5つほど通過した後、ようやく町らしき景色になってきました。

「次降りるぞ。」


本日の主役建築大好き人間原田竜一郎(大学時代の同級生)はそう言って次降(お)りますのボタンを押しました。いかにも最近開発されましたというニュータウンではなく、元々ちょっとした田舎の町だったところに周りが開発されて、つられて大きくなったといった感じの街です。


「ここも周辺チェックな。」


原田はそう言って自分の方をちらっと見ます。スマホのGPS機能で現在地を確認。そこから徐々に縮尺を小さくしていき、生活必需の施設を見つけていきます。


「ドラッグストア、銀行、…これってスーパーかなぁ?なんか小さいぞ。」
「実際行って見てみよう。」


早速原田は歩き出します。我々2人も後について5分ほど歩いたでしょうか。


「ああ、これかぁ。これって八百屋さんだよね。」


と原田。確かに昔ながらの小さな八百屋があり、その隣が魚屋、そして向かいが肉屋と小さな商店街になっています。使えなくはありませんが、ちょっとしょぼいです。
「これはさっきの大型商業施設まで車で行った方が便利だな。この辺では都会と違って車は必需なんだろ。」
と自分が言うと岡村も、


「そうだな。そういった意味では金がかかりそうだな。」
「じゃあ現地へ行ってみようか。」


原田はそう言ってまた歩を進めます。そこから300メートル程度歩いたところです。モデルルームを示すのぼりらしきものが見えてきました。そこは新築戸建ての家が立ち並ぶちょっとした住宅街になっていました。まずは受け付けで原田が名前を告げます。


営業マンに横につかれるのもうっとうしいので予約は入れていないようです。先客が2組ほどいらっしゃるので、我々はその次まで待たなければいけません。番号札をもらい、その間外観を確認しに行きます。外壁は素朴なベージュ色でベランダの部分と玄関への階段だけれんが色になっています。


黄色っぽい色と赤色っぽい色がアクセントになり、さらにそれが見事に調和しています。とてもきれいで是非住みたいです。

「街の雰囲気を感じるためにも実際歩いてみようか。」


この話を言い出した建築知識抜群の原田竜一郎が、私より前を歩き始めました。このたび私、奥和也、齢40にてようやく結婚することとなりました。


この会社の同僚原田竜一郞が我々夫婦の新居を探してくれるというのです。この頼もしい友人原田によると、地図ではわからないその街の雰囲気、街灯の数の多さ、間隔、子供や女性、お年寄りがどの程度で歩いてらっしゃるかなどを確認することで、その街の治安レベルが分かるそうです。


まだ緑が多くのどかさが残るこの街では、全く問題なさそうです。交通量についても決して多いとは言えません。


「街の雰囲気を感じるためにも実際歩いてみようか。」


原田が先頭に立って歩き始めました。地図ではわからないその街の雰囲気、街灯の数の多さ、間隔、子供や女性、お年寄りがどの程度で歩いてらっしゃるかなどを確認することで、その街の治安レベルが分かるそうです。


まだ緑が多くのどかさが残るこの街では、全く問題なさそうです。交通量についても決して多いとは言えません。


「のどかで穏やかだよ。」私が言うと、
「うん。そろそろモデルルーム行こっか。」原田はモデルルームに向かい始めました。


モデルルームには2種類あるそうです。建物が完成する前、その建物の外部に現物とそっくりにつくられたタイプと、建物完成後その棟内につくられたタイプです。


行ってみると後者のタイプでした。3LDK ~ 4LDK+納戸で総戸数 141戸だそうです。納戸(なんど)とは普段使っていない衣類や家具などを収納しておくところです。


見た目はシックなグレーで大人な雰囲気、おしゃれです。外観がとても変わっています。我々素人はほとんど直方体に近い形をイメージしていたのですが、高さがまちまちです。各戸によってその大きさ、高さが違うのだと思います。原田に聞いてみました。


「これって入る家によって大きさが違うってこと?」
「そうだよ。」
「へーっ。今はこんなのあるんだ。」


ちょっとしたカルチャーショックを受けつつも近代的でカッコいいです。落ち着いた雰囲気の廊下を通って玄関に入ります。セキュリティー効果の高いリバーシブルディンプルキーで1000億通りの理論値が存在するそうです。


その上上下2箇所に施錠できるため、不正な解錠が極めて困難だそうです。右に木目調のげた箱。さらに進むと5畳と7畳の洋室。白い壁に木目がはっきりと見えた若干茶色っぽい床が落ち着いたいい感じです。ありがとう原田。いい家が見つかったよ。

これから、建築が大好きという変わった趣味を持つ原田竜一郎、それからちょっと控えめな山本と一緒にモデルルームを見に行きます。


いつもの休日であれば、昼まで寝ているタイプなのでやっぱり相当眠いです。面倒くさいなぁと思いながらも無理やり起きました。原田はいつも強引です。高校時代から全く変わっていないんです。


高校時代、彼は野球部のキャッチャーでした。試合中に原田が出すサインに、ピッチャーの山本が何度も首を振ることがしばしばあるのをセカンドの私はよく目にしました。


それでも原田は絶対にサインを変えませんでした。山本が首を縦に振るまで同じサインを出し続けます。 3回でも4回でも、ストレートならストレート、ひどいときには10回近くも繰り返したこともあります。


しかし、不思議なことにそれが全部的中するんです。10回ストレートのサインを出した時は、セカンドの自分へのゴロで、ピンチをダブルプレーで切り抜けることができました。こんな原田だからこそ自分と山本は黙ってついて行くといった側面があります。


ちなみにキャプテンだったのは私ですよ。それでもこういう人間関係なんです。今日の晩飯はラーメン屋へ行く、これも原田が決めました。駅まで行ってみると2人はもうすでに改札の前で待っていました。


「毎度。」
「おう。毎度。」


2人ともご機嫌で何やらすごく楽しみだといった感じが見て取れます。


「よっしゃ行こか。」


3人そろって各駅停車に乗り込み、途中隣の駅で快速電車に乗り換えます。電車に乗っている時間は合計でおよそ30分。降りた駅からはバスで15分ほどです。ここ数年で開発が進められ、大阪のいわゆるベッドタウンとして急速に発展を遂げている地域です。


まだまだ郊外といった雰囲気が残り、大阪市内の空気と比べて全然違うのを感じ取れます。子供や年寄りの健康にとても良さそうです。


「まず周辺のチェック。」と原田は持ってきた地図を広げ出しながら
「駅からは大体15分で、あとは生活必需施設の確認や。しかしなぁ…この地図ちょっと古いよね。この辺ニュータウンだからほとんど何もないことになってる。スーパーは目の前に見えるんだけど。これも書いてないなぁ。井上、お前のスマホで調べてくれ。」


「よっしゃ。」と自慢のAndroidを取り出し、地図アプリで検索をかけてみました。スーパーマーケット、郵便局、銀行、学校…ほとんどのものが行けそうです。


「大概のものがそろってそうだよ。」
「よし。問題無しだ。」


いつも強気な原田ですが、自分で言った手前ほっと一安心といった感じです。