ファイティング社労士のブログ -2ページ目

ファイティング社労士のブログ

仕事に限らず日々感じたことを徒然なるままに綴ります。

先日も、老人ホームの運営や訪問介護などをしている和歌山市の社会福祉法人が、

ヘルパーなど100人余りに、いわゆるサービス残業をさせていたとして、

和歌山労働基準監督署は、労働基準法違反の疑いで法人の事務所などを捜索しました。

やはり、なぜかこの時期ガサ入れや臨検ってのは多いような気がします。

前にもかきましたが、是正勧告を無視し続けると、今回のような強制捜査がはいり

証拠をおさえられて、書類送検されてしまいます。

罰金もとられますが、何よりも、企業の社会的信用の失墜が大きいかと思います。

しかし、一方で、法律どおりに残業代を払うのは

とてもきついという企業も存在するのは事実です。

そういった企業にお勧めの制度がいくつかあります。

固定残残業制・変形労働時間制度・みなし労働時間制度

これらの制度を導入すると、残業代がいままでより圧縮できたりします。

ただ、これらの制度にはそれぞれ特徴があるので、

自社にフィットしたものを選ばなければ効果があがりません。

また、これらもの制度を導入したからといって、いかなる時でも

残業代を払わなくてもすむというものではないので

導入・運用には注意が必要です。

ただ、普通の1日8時間、1周40時間の労働時間制が

必ずしも、その企業にあってるわけではなく、

規模や業態によってはそういった制度を

導入すべき企業があるのも事実です。

漫然とした時間管理で違法になるのであれば、

こういった労働時間制や賃金体系を積極的に導入し、

企業の体制を合法化してていくことが

不払い残業事件発生のリスクを防ぐのではと思います。


本日も長文お付き合い頂きありがとうございます。
12月1日(時事通信)からの引用ですが、会社更生手続き中の消費者金融・武富士で、

今年3月末の在籍社員の8割に当たる1300人程度が退職することが30日、分かった。

武富士の事業を引き継ぐ韓国の同業大手A&Pファイナンシャルは、人員削減の規模を1000人程度にする予定だったが、

退職希望者が続出し、想定を上回ったという。会社の先行きに不透明感が強いことなどが背景とみられる。

武富士の社員数は、3月末時点で約1600人。A&Pは、有人店舗を約20店に削減、無人店も4分の1の約100店を閉鎖するなど、

事業規模を大幅に縮小し、人員を大幅に減らす方針だった。退職者の大半は、年末までに社を離れる見通しだ。


利息制限法を超えた貸付をし返済を受けたことに対する、過払い返還請求の影響から、

経営困難になっているサラ金って多くなってるのかもしれません。

昔、一回だけ、どんなものなのか興味本位で少額かりたことがあったのですが、

非常に簡単に借りることができました。

これは今日にでもまとまった金がいるっていう状態の人にとったら、

まさに打ち出の小づちのようなものだと思います。

しかし、返済に息詰まると、そこからは鬼がでてくるわけで、

執拗な電話、家への訪問、大声での恫喝など、相当きびしいことになります。

また、よくあるパターンですが、会社に督促がいったりもします。

「おたくの従業員が返済しないのでそちらでなんとかしてくれ」といったものがくるわけです。

こんなものがきたら会社としてはびっくりしますよね~

「とにかく返済しろ!金が無いなら貸しといてやる。返済は給料から天引きや」

ということで、貸付たりします。



この時、注意しなければいけない点があります。

一つには、労働基準法第17条の

「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と

賃金とを相殺してはならない」という条文に反しないかということです。

これについては「本規定の趣旨は金銭貸借関係と労働関係とを完全に分離し、

金銭貸借関係に基づく身分的拘束を防止することため」

昭23.10.15 基発1510 号、昭23.10.23 基収3633 号、昭63.3.14 基発150 号

となっていることから、返すまで会社をやめれないという一言はNGかと思いますが

そうでなければ、抵触しないと思います。


二点目として、労働基準法第24条で賃金の全額払いが規定されてます。

その趣旨は使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、

労働者に賃金の全額を確実に受領させ、

労働者の経済生活をおびやかすことのないようにして

その保護をはかろうとするものというものです。

ということは、従業員みずから賃金の放棄を意思表示した場合には

この趣旨に反しないということです。

判例では、退職金債権放棄の意思表示は

労働者の自由な意思に基づくものであることが明確である限り、

全額払いの原則に反しない(最判昭和48年1月19日シンガーソーイングメシーン事件)

というものがあります。但し、行政通達で、この部分をつっこんだものは見当たらず、

労働基準監督署などが行う行政指導を考えた場合は

24条1項但書及び、S27.9.20基発675号、H11.3.31基発168号により

労使協定(労働組合または職場代表と)を締結しておくべきかなと思います。


つまり、実務的には24協定を締結したうえで、

労働者個人とは、自由な意思での同意があったという部分を明確にするために

書面と押印をもっての同意書を残しておくのがベストです。


最後に使用者からの控除の限度についてですが、

一賃金支払期における俸給の4分の1となってます。

(民事執行法第152条、民法第510条、昭和29年12月23日基収6185号、昭和63年3月14日基発150号)


本日も長々とお付き合いありがとうございます。

今回はこれにて









 

12月にはいってやっぱりちょっと寒くなってきましたね。

先日もポストのなかに自治会主催のもちつき大会の案内が入ってました。

こんなのを見ると、やっぱりもう師走って感じですね~

ちょうどこの時期、2年前の話なんですが、大阪で広範囲にチェーン店を展開している

「スーパー玉出」(大阪市西成区)と社長(当時65)が労働基準法違反容疑などで

大阪地検に書類送検されました。容疑は、東淀川店で07年7~9月、

従業員18人に対して最大週46時間半の違法時間外労働をさせたうえ、

時間外の割増賃金総額約146万円を支払わなかったということです。

うち50代のパート従業員の女性は07年9月、勤務中にくも膜下出血で倒れ、

約1カ月後に死亡したということで、女性は倒れる直前の1カ月間、

約148時間の時間外労働を強いられていたため、

同署が前年5月、過労死と認定していたということです。

この店、超メジャーな激安店だったため結構衝撃的でした。

加えて、同社顧問の社労士も書類送検されており、「う~ん」って感じです。

この時期になるといつもこの事件を思い出すのですが、実は先日また大手の企業で

不払い残業での行政の捜索があったようです。

和食チェーン「がんこフードサービス」(本社・大阪市淀川区)が、

直営店舗の従業員に残業手当や深夜労働の割増賃金を支払っていなかった疑いがあるとして、

大阪労働局が12月2日午前、労働基準法違反容疑で、同社の本社や店舗など関係先4か所について捜索を始めたそうです。

同労働局によると、問題の店舗は岸和田市岸城町の「岸和田五風荘店」で、

約1000人いる従業員のうち一部に対し、割り増し分を支払っていない疑いがあるということで、

同労働局はほかの約90店舗でも同様の未払いがなかったか調べる方針ということです。

う~ん今後の動向が注目されますね~

ところで、「労基法違反すると何かペナルティあるんですか?」

という質問もをたまに受けることがあります。

その裏には「ペナルティないんならいっかぁ」という意図が読めるような気もするんですが・・・・

労基法には重いもので「1年以上10年以下の懲役20万以上300万以下の罰金」

軽いもので「30万円以下の罰金」などがあります。

特に、この軽いものが適用される規定に関しては「たいしたことないや」と思われるかたも多いのですが、

実は、罰金って非常に不名誉なことなんです。よく、交通違反のときに支払わされる反則金を罰金と呼びますが、

これは行政罰です。労基法にでてくる罰金は刑事罰で、前科、前歴になります。

これを取り締まる労働基準監督署も、もともとは警察の組織から分離したものですし

労働基準監督官も特別司法警察職員として犯罪捜査と、被疑者の逮捕の権限があります。

「税務署は怖いけど、監督署なんてどうってことないよ」と肝の据わった社長も御見かけしますが、どうなんでしょうか。

とにかく、上記にご紹介した事件を対岸の火事とせず他山の石として捉えていことが賢明かと思います。

特に不払い残業に関しては、民事のほうからも労働者から訴えられる可能性があり、

最近、一部の弁護士さんが、労働者の立場から積極的にこの件に取り組んでおられるとも聞きます。

それでは今回はこのへんで・・・・長文おつきあいありがとうございました。