長い間60キロ前後で安定していた体重が、3年位前からじわりじわりと増え出して昨年末にはついに62キロに達してしまった。

 そうなると、今まで使用していたズボンの腰回りがきつくなって困る。何とか対策をとは思うのだが、折角の残り少ない人生、食べたい物を辛抱してまでのダイエットなどはとてもできる芸当ではなかった。それかと言って3センチ太めのズボンを買うのにはいささか抵抗感があった。

 

 そんな折しも、今年の2月頃だったろうか。テレビの健康番組でウォーキングよりも、腹筋体操の方が熟年者には効果的だ。3カ月も続ければ腰回りの脂肪がとれること請け合いだと聞いて、早速テレビを観ながら始めた。

 

 体操は簡単だ。初めは直立姿勢で両掌を後頭部で組み合わせて、頭は後ろに掌は前に押して後頭部を圧迫する。次に上体は直立の儘で手は後ろで軽く組み、両足を適度に開いて前に少し曲げて中腰姿勢をとる。(両膝を斜め前に広げながら足を全部曲げて、相撲の立ち会い前の『ソンキョ』の姿勢を3~5分とるのも効果的)そして最後は床に仰向けに寝て両足は適度に曲げて膝を立て、掌を頭の下で組んで上半身をできるだけ起こす。但しこれは少しキツイから初期はあまり無理をせずに軽くして、徐々にならしていくのが上策である。

 以上いずれも途中で呼吸を止めると血圧が上がるので、イチ、ニー、サンと声を出して数を数えながら7、8秒位ずつ3回繰り返し、これを一日に3回実行するのが望ましいとか。

 

 一週間ほど続けたら、思いもしなかった効果が出てきた。それまで胃酸過多で夜になると胸がムカムカしていたのがウソのように解消した。それだけで満足して体重の方はすっかり忘れていたが、6月のある日、風呂上がりにヒョイとヘルスメーターに乗って驚いた。メーターの針は確実に60キロを切っているではないか。軽い気持ちで始めた体操だったが、予想外のオマケつきで、二キロ減量の効果は大きかった。

 

 その後も時々検量しているが増減なく安定しており、胃腸もすこぶる快調で、食べたい物が何でも食べられて、腹筋体操を続けられる幸せを噛みしめている。