中学に入った頃、私は本当に、本っ当ーに友達がいなかった。
そして、今も私も体が丈夫でない私は、時々学校を休んだ。
その、学校を休んだの家庭科の時間だった。
後期の技術の授業で使う、製図セットと大工道具セットの注文を受けたらしい。
数日後、それらが届いた時に、私はそのことを初めてしった。
つまり、こんな大事なことを教えてくれる友達がいなかったのだ。
でも私は、
「ま、お姉ちゃんのお下がり使えばいっか」
と思い、先生や家庭科係の人には何も言わなかった。

半年後、私は親に大目玉を食らった。
「お姉ちゃんのお下がりなんてありません! どうして注文しなかったの!」
私は、注文があることを誰も教えてくれなかったと、正直に言ったが。
「そんなこと、あるわけないじゃないの! どうせ美伊のことだから、授業ちゃんと聞いてなかったんじゃないの?」
親は、私の言うことを信じてくれなかった。
結局、大工道具セットは、学校の近くのお店で取り扱っていたので、買った。
製図セットは、街へ出て買った。
もちろん、
「明日持ってきてください」
には間に合うはずもなく、最初の週は別のクラスの子に借りたりしたが、何とか自分のブツを入手できた。

こういうことは、高校でもあった。
例によって、体調不良で学校を休んだ日に、春休みの宿題用の文庫本を買うことになった。
学校まで本屋さんが来たその日まで、私はそのことを知らなかった。
注文した人の分しか本がなかったのか、私がお金を持っていなかったのかは覚えていない。
一緒にお昼を食べたり、教室移動をしていた友人の一人に、
「今日、○○の本買う日だよ」
と、何気なく言われるまで、私は知らなかった。
私が、そんな話は聞いてないと言うと、彼女は、
「!」
という顔をした。
「『!』じゃないよ、なんで教えてくれなかったの?」
私がちょっときつく言ってしまうと、
「ごめんね!」
彼女はうざそうに謝った。
まあ、この本については、学校の帰りに本屋さんに寄ったらあったので、事なきを得た。

これが、中高時代で感じた、友達がいないってこういうことか、という話でした。