「いつも身体がだるい」「朝、起きるのが辛い」「休日に一日中寝ても休んだ気がせず、疲れが残っている」――。こんな状態が続いている人は珍しくないのではないでしょうか?
なぜこんなに疲れるの?その正体やその解消法を探ってみた。
■近年約4割の人が半年以上続く慢性的な疲労を感じている
2012年に厚生労働省疲労研究班が一般地域住民2000人を対象に実施した疫学調査によれば、38.7%の人が半年以上続く慢性的な疲労を感じており、そのうち2.1%には日常生活に支障をきたすような慢性的な疲労が見られた。
また、12年に文部科学省研究班が行った医療機関受診患者の調査でも、約45%に半年以上続く慢性的な疲労が認められた。
それ以前の高度成長期の調査でも「1970年代から80年代にも6~7割の人に疲労感が有るという調査結果がみられましたが、大半は一晩寝ればとれる軽い疲れでした。
近年インターネットやスマートフォンの普及による情報過多、企業での終身雇用制度の崩壊、リストラの加速、成果主義の浸透など、生活や労働環境の変化に伴い、今は疲労というものが一時的な疲労から慢性的な疲労に変わってきています。
これは高度成長期の社会においては企業に就職するという事はほぼ終身雇用を前提とし、雇用保険や退職金制度・年金制度などによる保障でそれほど不安無く退職しても老後を迎える事が出いていましたが、近年では早期退職、リストラ、年金、健康保険、介護保険などの将来的な保障への不安などが長期的なストレスとなります。
現代社会におけるストレスの質が変化しているのではないでしょうか?
■疲労は体の異常を知らせるアラーム信号
疲労の原因はよくストレスと言われます。
ストレスには
・人間関係の悩みなどの「精神的ストレス」
・過重労働や激しい運動のような「身体的ストレス」
・紫外線や化学物質、猛暑、感染症などの様々な「生活環境ストレス」
などがあります。
これらのストレスによって、私たちの身体の神経系・免疫系・内分泌系のシステムに狂いが生じ、細胞レベルではタンパク質や遺伝子に傷がついてしまうのです。
本来、人間にはそれを修復する能力(自然治癒力)が備わっていますが、ストレスの原因となっている労働や運動、作業を止めずに続けた場合や、過度のストレス状況に置かれた場合などには傷を修復することが間に合わなくなるのです。そのような状況に陥らないように人は「だるい」「しんどい」という感覚で疲労を自覚して、休息をとり、元の健康な状態に回復させている。
ですから疲労は私たちの身体に「異常がおきていますよ!」と知らせてくれているのです。
痛み・発熱と並んで、疲労感は体の異常や変調を知らせる三大アラームの一つなのです。生命維持にとっても大切な感覚なのです
■体の中から訴える「休め」という警告を無視して働き続けると…
では、「休め」という体の警告を無視して働き続けるとどうなるのだろう?
ひどく疲れを感じたら、だれしも休めばいいのは分かっている事です、とはいえ、現実的には「分かっていてもなかなか休めない」という人も多い。
「休め」というアラームを無視して働き続けると、「細胞の傷が修復できなくなり、ついには心筋梗塞や脳血管障害などの深刻な事態、過労死に陥ることもある」
そうした疲労のメカニズムをもう少し詳しく見てみよう。
強大なストレス・長期にわたるストレス
⇒免疫力の低下(ナチュラルキラー細胞の活性度の低下)
⇒ウィルスの再活性化(体内に潜在するウィルスの活性化)
⇒免疫物質を産生(インターフェロンなど)
⇒免疫物質が脳に悪影響(神経伝達物質を介した情報交換の
阻害など)
ストレスは、体の神経系・免疫系、内分泌系のシステムに絶えず影響を与えているが、通常は体に異常が生じても修復され、この3つのシステムが大きく崩れることはありません。
しかし、修復能力を超えるような強大なストレスや、長期間にわたりストレスがかかり続けると、次第にナチュラルキラー(NK)細胞などの免疫力が低下して、ウイルスに対する抵抗力が弱くなる。
すると体に潜在していたウイルス(ヘルペスウイルスなど)が元気になってきて、口唇ヘルペスのような発疹ができたり、風邪を繰り返したりする(ウイルスの再活性化)。
こうなると免疫系は防御体制を発令して、体を守るための免疫物質をつくり出す。この免疫物質はウイルスを抑えるのには有効だが、反面では脳に悪影響を与える。
それが、なかなかとれない疲労感や不安・抑うつなどの症状を引き起こしてしまうメカニズムだという。
「最近の研究で、このような免疫物質は脳の中でもつくられていることがわかってきました。免疫物質が脳内でつくられると、セロトニンなどの神経伝達物質を介して行われる情報交換がうまくいかなくなり、さまざまな慢性疲労の症状が現れるのです」
セロトニンなどの神経伝達物質による脳内の情報交換がうまくいかなくなると、疲れているのに疲労感を自覚できなくなることもある。
いわば「疲労感なき疲労」だ。
ノルマを達成した時など「周囲からほめられて一時的な達成感に満足したり、自分は必要とされていると思うと、脳の中で快楽をつかさどるドーパミンや、怒りのホルモンといわれるノルアドレナリンなどの神経伝達物質が増え、疲労感が覆い隠されてしまうのです」
実はこの「自覚なき疲労」が一番危険だと言えるでしょう。
■慢性疲労に陥る前にまずは自分の疲労レベルを認識しよう
覆い隠された疲労は、自覚はなくても体の活動能力は低下している状態。気づかずに活動し続ければ、最悪の場合、過労死などの急激な破綻につながることもあるため注意が必要なのです。こうした自覚しにくい疲労の状態を知るためにも、客観的に疲労を評価できるバイオマーカー(生物学的指標)が求められます。
個人レベルでは、慢性的な疲労に陥る前に、自分の疲れの状態に心を配り、その日の疲れはその日のうちに回復させることを意識することが望ましい。また、同じストレスでも、それに対する感受性やストレス処理(コーピング)の仕方によって、疲れの感じ方の個人差は大きく違ってくる。
「こだわりが強い固着性気質、完璧主義の人は高い成果を上げることができますが、ストレスを強く感じやすいことも知られています。より意識してしっかりとマネジメントすることが大切です」
具体的にどうすればいいかというと、ストレスがあるときは誰でもその原因を分析し、解決しようとするが、なかなか解決できない場合は、可能であればその状況から“抜け出すこと”が重要だ。それができない場合は、家族や友人、同僚などに自分の状況を説明して共感してもらう、あるいは、怒る、泣くといった感情表現をしてみることも大切だという。
1日の睡眠や週末の休息では回復できない疲労が蓄積している場合は要注意だ。
1カ月以上続けば「遷延性疲労」、6カ月以上続けば「慢性疲労」と呼ぶ。
慢性疲労症候群と呼ばれる病気が慢性疲労と混同されることがあるが、慢性疲労症候群は日常生活そのものが破壊されるような深刻な病態であり、単なる「慢性疲労」とは区別する必要がある。
このように疲労に対して知識を持つことも大切で、長く疲労が続いている場合は、医療機関へ相談もするべきでしょう。
これから紹介する疲労度チェックリストも参考に、まずは日ごろから自分の疲れの状態をセルフチェックする習慣を持つことが大切です。
■自身の疲労度をセルフチェックしよう!
疲労度を自己診断するためのチェックリストだ。各項目(の白い点数欄)に、「全くない」から「非常に強い」まで当てはまる点数を記入する(ピンク色の点数欄には記入しなくてよい)。記入が終わったら同じ列の点数を合計すると、身体的、精神的、それぞれの疲労度合いが分かり、両方を足すと総合評価が分かる。「疲れたな」と感じたら、こうしたリストを使って疲れ具合をチェックしよう。
自己診断疲労度チェックリスト 科学技術振興調整費「疲労および疲労感の分子・神経メカニズムとその防御に関する研究」2004年成果報告書を基に作成
脳と身体の神経的なつながりを常に正常に保つという事は、身体が発する危険信号にも敏感に対応できるという事です、自分の中で起こる異常を正しく認識できる身体を保つためにもバイタルリアクトセラピーはお役に立てると思います。
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