小学生の頃に日本地図を作製した伊能忠敬のことを覚える。江戸時代といえば管理された電気もガスも電波もなかった頃である。しかも、北海道どころか樺太まで測量していたことに驚いていた。温暖だったとされる説もあるが、江戸に比べれば、冬は流氷に囲まれる極寒の地で、どれほどの労苦によって地図が作成されたか、想像を絶する。
しかし、馴染みがある地図は、実際の地形の測量結果ではなく、国名や国境線、領海も含めた境界が記入されていて、場所を確認したり地理を学習するのに便利なように制作されている。そんな地図は、政治的な主張の押し売りの道具になりかねないことに気付いたのは最近である。いわゆる北方領土や竹島、尖閣諸島も日本の領土と示しても、実効支配しているのは、それぞれロシアと韓国と中国であり、日本は領土を奪われているではないか。日本の地図が示すことと現実と異なるのは不信感が募るばかりだ。国内向けに日本の領土と主張しながら国外向けには近隣諸国の顔色を窺うような弱腰な国にこれからも先が思いやられる。