夫は、離婚離婚と騒ぎ立てるわりに、しれっと月2回帰ってくる。


 帰宅するのは子どものためだけだ、と主張しつつも、自宅で子どもと過ごし、私の手料理を食べる。


 端から見たら、一般的な単身赴任家族だ。


 それなのに「◯年前から、とうに夫婦破綻だ」とするには、無理がある。



 夫は、本当に私と離婚したいのだろう。残念ながら。


 しかし、子どもとの時間を完全に失う覚悟はまだないようだ。


 その曖昧さが、今の矛盾を生んでいる。



 私は、離婚するつもりはない。


 夫側は

「夫に愛情がなくなった以上、離婚は必定。今離婚に応じるならば、学費など全額援助してやってもいい」

 と、エラそうに条件を提示している。


 カネの問題じゃないよ!


 必死で守ってきた家庭を、不倫ごときで壊されてたまるか!



 深い家族愛と、薄っぺらい〝真実の愛〟の、根比べ。