夫の不貞相手は、ヘアメイクアーティスト。


 歌手やモデルを担当しているらしい。


 それ以来、約1年ほどコスメ売り場に行くのがイヤになった。


 様々なコスメのポスターの中に、その女が担当したものがあるかもしれない、と勝手に想像して胸が苦しくなっていたからだ。


 しかし、そのうち「不貞女はコバエと同じなんだから、いちいち気にしなくていい」と思えるようになり、再びコスメ売り場が平気になった。


 …と思っていたのだが、長年愛用している通販のコスメカタログをテーブルに置いていたら、夫がパラパラと見ている。


 さりげなく目線を追うと、写真を見るというよりは、ページ下にあるhair&makeなどのスタッフの記述を読んでいるようだ。


 え、このブランド、あの女が関わってんの?


 化粧品に罪はないけど、なんか気持ち悪。


 コバエは、意外と身近にうろついてるもんだな。