調停は不調和に終わったが「このままでは済まさない」と裁判をにおわせる夫。



 これから先どうなるのだろう…と考えると、悪い想像ばかりが頭を支配する。


 裁判を起こされたら?

 赴任先で転職したら、一緒に暮らせなくなる!

 二人の仲がますます深まったら?

 私の収入で、子どもたちの学費を払えるのか?

 考えると、胸が苦しくなる。



 絶対安全領域だったはずの家庭が、夫の不倫によって揺らいでいる。

 この1年で、かつて経験したことがないほどの苦しみや悲しみを味わった。

 次から次にわき出る不安は、これ以上自分が傷つかないための防衛反応なのだろう。


 しかし、自分を守るはずの不安が、悩みを増やし、苦しめ、私の行動に制限をかけている。

 ふとそのことに気付き、すると、不安に支配されている自分がひどくバカらしく思えてきた。



 不安を感じるのは、仕方ない。

 まさかの不倫、まさかの離婚調停…まさかまさかの連続だったし。

 でも、それはそれ。

 夫の行動はコントロールできないのだから、裁判を起こそうが、転職しようが、女と同棲しようが、私にはどうにもできないのだ。


 私にできることは、自分が作り出す不安に振り回されず、日々の生活を丁寧に、周りにも誠実に生きていくこと。



 不安を感じ、動悸が激しくなったり苦しくなったりしながらも、子どもを守りながら必死で生きてる私は、なかなかカッコいい。


 自分のことしか考えない不貞者たちには、負ける気がしない。

 …と自分を奮い立たせる。