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第十三章 【再出発】 その3

「いっちゃったね」



「そうだな……ワォッ!」


ボブが横に立っていた。


「いつから居たんだお前」


「やっぱ気になってさ」 空き地の外の田圃を指差し
「ずっとあそこに隠れて見てたんだ」


「やっぱキショイなお前。出てくりゃ良かったのに」


「いんだよ俺は」 セダンが走り去った方を見詰めながら寂しそうに呟いた。


「あの時さ篤誠会にはもっと早く着いてたんだ、俺」 ボブは目を細めて話し出した。


「何度も逃げようかと思った。本当は気を失うまで心の中で何度も後悔してたんだ。 遡って涼ちゃんを好きになった事まで後悔した……」



「でも、結局助けに行ったじゃねえか」



「それが自分でも解らないんだ、なんであんな事ができたのか」

「それが本当のお前なんじゃないの?」


「え? どう言う事?」


「だから過小評価してんだよ。お前が勝手に自分で臆病者だと思ってるだけでその思い込みが本来のお前を閉じ込めてんのかもよ」



「もしかして……それってマット・デイモンのボーンシリーズみたいな感じ?」

「全然違う。 とにかく臆病者じゃねえって事は行動が示してんだから自信持てばいんだよ」





「そんなモンかなぁ~」


「そんなモンだよ。お前は確実に成長してるよ。身長じゃなくて内面が」



「ところで木庭は何であん時許してくれたんだろ? いい加減教えてくれよ」



「俺の話に感銘受けたんだっつってんだろ」


「だからその話の内容教えてくれって言ってんの。俺気絶してて聞いてないんだから」

「なんつうかな、神様が俺たち男にどんだけ優しいかって話だよ。 それ聞いて豊かな気分になったんだよ、きっと。優し~い気持ちに」


「答えになってねえよ。内容教えてくれよ」


「例えは何でも良かったんだけどさ、まず木庭に幸せを感じて欲しくてな。 おっぱいって、いっぺんに一個しか舐めらんねぇのに二個もついててスゲエなって言ったんだよ」


「あの状況でそんなコト言ったの?」


「馬鹿。そういうチョイスが心に沁みんだよ。 女性もほぼ同数だから男一人に対しておっぱいは二個。 それほど贅沢な状況でコレ以上何を望む?  神様って粋だね……みたいな事言ったのよ……」



「成程、そうか。そう聞くと深いね」


深かねえだろ』俺は心で呟いた。




「でもおかしいぞ!」


不意にボブが漏らした。


「ひとり二個なのになんで俺には一個も回ってこないんだよ!」

「そらお前が原因だろ」


「ちょっと待って! じゃあ本来俺に割り当てられる筈のおっぱいを他の奴が吸ってるって事もあり得るんじゃないの? どこぞのスケベが。そう言う事だよね」


「落ち着けボブ。一緒にお前がモテない原因探って解決しよう」



…逆効果だ。


「黙れロリコン!」



「誰がロリコンだよ。根拠のねえ罵り方すんじゃねえよ」

「あんたもう既に二個以上おっぱい吸ってんだろ、この裏切り者のロリコン!」


「だからロリコンじゃねえっつってんだろ」



ボブは青空に叫んだ。


「この世界は奪い合いだ。限られたおっぱいの奪い合いだ~!」




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