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第六章 【涼子と安西】 その4

ワンボックスの後部座席に座らされた安西は身動きが取れない様にしっかり縛られていた。


さっきスタンガンを見舞ってくれた小柄の男、森下が隣に座っている。


派手に顔が腫れ上がった森下に安西が話しかけた。

「武藤は俺が無理矢理巻き込んだんだ。アイツは勘弁して貰えねぇかな」

「俺等に頼んでも無駄だ。全部木庭さんが決める」

「解ったよ。直接頼んでみるよ。なんでもかんでも木庭さんだな」




「もし俺等に決定権があったらお前をその程度じゃ許さねぇ。 それからひとつ忠告しといてやる。 木庭さんに願い事はNGだ。お前はあの人の要求に応える事だけに専念しろ。 機嫌を損ねたらお前は勿論、お前の身内もお終いだ」


「冗談じゃねぇよ。身内もってどういうコトだよ」



「逆らえば、お前の彼女と田舎のお袋さんに迷惑が掛かるってコトだ」


「あいつ等は関係ねぇだろ」


「俺たちは相手が一番恐れてる事を見抜き、それを躊躇なく行い、人を跪かせる。 お前はそういう世界に足を踏み入れたんだ。諦めて腹括るんだな」


深く溜息をつく安西……。


「一本、電話いれさせてくんねぇか?」 と項垂れたまま一言を吐きだした。

「三好興業の伏谷さんか?」

目を上げて森下を見る安西は明らかに動揺していた。


「電話しても無駄だ。今朝がた木庭さんが話つけた。 伏谷さんは篤誠会とコト構える気はない。お前等のケツ持ちも降りるそうだ」


安西は下唇を噛み締めた。


自分が見捨てられたのは自業自得だ。


たいして期待もしていなかった。


只、涼子の行為が、彼女の自己犠牲が全て徒労に終わった事が悔しかった。



「伏谷さんに伝えてくれ…… あんたには世話になったが涼子を失望させた事は一生忘れないって」




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