ヤツは絶対に、ここに来る。
刑事の勘ってやつだ。
メンバーは随分様変わりしてしまったから、
今じゃ俺が一番の古株って事になる。
刑事になりたての頃には、こんなに長く続けるなんて思ってもみなかったが、
何の因果か、この有様だ。
検挙率も今やトップ。
だが、俺はそんな事に興味は無い。
ただ、犯人を捕まえる、それだけだ。
‥‥来た。
間違いない、
ヤツだ。
暗がりの茂みに身を潜める事、たったの五分。
経験が生み出す、俺の
『勘』
からは、逃れられんぜ。
まだだ。
もう少し、出来るだけヤツを引きつける。
見付からないギリギリの距離で飛び出さねば、またイチからやり直しだ。
チャンスは一度きりだ。
鼓動が高鳴り、茂みが揺れる気さえする。
あと三歩。
二歩‥‥‥
一歩‥‥
今だ!
太腿、ふくらはぎ、足首、足の指、
全ての力を一気に解放してやる。
『待てっ!!』
『‥‥チィッ!』
思ったより、ヤツの反応が早かった。
舌打ちをして、一気に走り出す。
俺の殺気を読んでいたのかも知れない。
『そっちだ!そっちへ回ったぞ!』
仲間が何ヵ所かにスタンバイしてくれている。
挟み込む様にして、追い込める筈だ。
ザザッ。
ズササッ。
背の低い茂みを飛び越えながら、器用に逃げるヤツ。
だが、向こう側にも仲間がいる。
捕まえるのは時間の問題だ。
『そこだ!挟み込め!
俺はこっちから回る!』
ヤツが狼狽し、ついに立ち止まる。
肩をがくりと落とし、
ふてくされた様な表情が、暗がりでも分かった。
つづく。