疾走〜追う者〜 | たっつのしあわせストマック2

たっつのしあわせストマック2

独自の味覚と観点から、美味しいモノ、面白いモノを探求するブログです。

物語、妄想好きな方は「プチ小説」もどうぞ。

ヤツは絶対に、ここに来る。


刑事の勘ってやつだ。



メンバーは随分様変わりしてしまったから、
今じゃ俺が一番の古株って事になる。



刑事になりたての頃には、こんなに長く続けるなんて思ってもみなかったが、
何の因果か、この有様だ。



検挙率も今やトップ。

だが、俺はそんな事に興味は無い。


ただ、犯人を捕まえる、それだけだ。






‥‥来た。


間違いない、
ヤツだ。




暗がりの茂みに身を潜める事、たったの五分。


経験が生み出す、俺の
『勘』
からは、逃れられんぜ。




まだだ。

もう少し、出来るだけヤツを引きつける。



見付からないギリギリの距離で飛び出さねば、またイチからやり直しだ。



チャンスは一度きりだ。




鼓動が高鳴り、茂みが揺れる気さえする。




あと三歩。



二歩‥‥‥



一歩‥‥



今だ!



太腿、ふくらはぎ、足首、足の指、
全ての力を一気に解放してやる。



『待てっ!!』



『‥‥チィッ!』



思ったより、ヤツの反応が早かった。


舌打ちをして、一気に走り出す。


俺の殺気を読んでいたのかも知れない。




『そっちだ!そっちへ回ったぞ!』



仲間が何ヵ所かにスタンバイしてくれている。


挟み込む様にして、追い込める筈だ。



ザザッ。
ズササッ。


背の低い茂みを飛び越えながら、器用に逃げるヤツ。


だが、向こう側にも仲間がいる。


捕まえるのは時間の問題だ。



『そこだ!挟み込め!
俺はこっちから回る!』



ヤツが狼狽し、ついに立ち止まる。



肩をがくりと落とし、
ふてくされた様な表情が、暗がりでも分かった。



つづく。