これは去年(08)年、妻が出産の為帰省し、一人暮らしを強いられた男のお話です。
誰にだって、間違いはある。
間違いを正し、以後同じ過ちを繰り返さぬ様に努めるその姿勢、気持ちこそが大切だと教わって来た。
しかし、一方で絶対に許されない過ちというものもある。
何の罪も無い人の命を奪う犯罪やテロなどは言語道断だ。
いつもと同じ平和な朝、僕は過ちを犯してしまった。
もちろん、人命を奪うなどという類のものではない。
ではないが、大罪を犯してしまったのだ。
その大罪とは何か。
親子丼を失敗した。
毎日楽しく作り、食べている弁当。
もはやライフワークとなりつつある弁当に親子丼を選び、その製作に失敗してしまったのだ。
なんだ、そんな事‥‥とお思いのあなた、聞いて下さいよ。
去る日曜日、僕の実家に、妹の旦那さんの実家から地鶏の炭火焼きが届いた。
はるばる鹿児島から出雲にやって来た、炭と脂を纏った地鶏の小片たち。
以前にも何度か送って頂いており、その美味しさ、しあわせ度はよく知っている。
これを手にした瞬間、
『来週のお弁当は地鶏の親子丼やぁ~』
と彦磨呂が憑依した。
肌寒い月曜日の朝六時三十七分、寝ぼけた彦磨呂は親子丼製作に取り掛かった。
玉葱だけでは寂しいので、ピーマンと茄子も入れよう。
まずは野菜を軽く炒めて、地鶏様も投入。
ここに、水と、醤油と、味醂と、砂糖‥‥と。
ぐつぐつ、うん、いい匂いだ。
弁当にするのやめて、朝から食べてしまいたいなぁ、ぐつぐつ。
ちょっと色が濃いけど、ウチの醤油は濃いからな‥‥。
うん、しょっぱくないし、大丈夫。
溶き卵、投入。
ぐつぐつ、ああ、いい匂い。
でもやっぱり、少し黒くなっちゃったな‥‥。
何でかな‥‥。
あ!!
違う!!
醤油の量とかじゃない!!!
‥‥‥ダシ汁、入れてねぇΣ(T▽T;)
‥‥‥‥これじゃあ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
親子丼っていうか‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
鶏すき丼だわぁ‥‥‥‥‥‥。
こんなに自分にガッカリしたのは久し振りだった。
多分、ケチャップと間違えてハンバーグに梅肉をたっぷりかけて以来だろう。
だが、鶏すき丼なら、それはそれでアリじゃないか。
昼が待ち遠しい。
昼。
別々の容器に入れて持って来たゴハンに親子をかける。
ううむ、やはり黒いが、味は‥‥‥!?
おおっ!
『卵の中に、ブラックダイヤモンド、見っけ』
今度は石塚さんが憑依した。
黒い見た目とは裏腹に、マイルドな味わい。
甘辛さも丁度良く、自分にビックリ。
肝心の鶏肉はしっかりと炭の香りが残っていて、歯応えが物凄い。
コリコリ、モニュモニュとして、強い旨味がある。
胸肉ともも肉が混じっているが、もも肉の脂と身の境目なんぞは世界遺産に登録したいぐらい美味。
噛む度にジュワッ、ジュワッとしあわせが滲み出る。
また、意外にもピーマンと茄子が良かった。
茄子は、鶏肉の脂が染み込んだ
『ジューシー面』
と、焼き色が付いた
『こんがり面』
の両方が楽しめてお得。
ピーマンはそのシャキシャキの食感が良いアクセントになっている。
【災い転じて、福となす】
が実践され、新しいメニューにも気付き、しあわせに溢れたお昼となったのでした。
(^_^)v