主人は寝たと思っていたが、
こっそり自分の母親に電話していた様だった。

そして翌朝、出社した後にLINEが来た。

「夜に母と話しました。
親は夫婦の関係が悪化している事を知って、
びっくりしていました。
そして、俺も東京へ行く、春も実家に帰って、
こちらに来る予定がない中で、

子供達を預かるのはおかしいと思います。
子供達には春ちゃんの実家へ行って貰って下さい。
との事です。
俺には選択肢がなくなりました。
春の実家で子供達を育てて下さい。」

直接言えずに逃げる主人に、毎日がっかりさせられた。
しかし、「子供達と会えなくなる…」

と思い絶望していた気持ちから一転、
子供達と過ごせる様になった。
それが何よりも自分の命を元気付けた。

子供達には私からちゃんと説明した。
自分の意思で主人の実家へ行くと決めていた子供達。
しかし、実際どういう生活になるか、と伝えた。
押し付けではなく、選択肢を与えながら、

「おばあちゃんはお仕事に行ってしまうし、
おじいちゃんは週末しか帰ってこない。
お父さんの妹はずっと仕事だし…。
殆ど二人で家にいる事になるけど、そうなったらどう思うかな?
またお父さんは仕事で東京へ一人で行ってしまう。
東京行きをやめる事もない様なの…。
そうなったら、お父さん、お母さんが生きているのに、
両親と過ごせず、寂しい思いをしているあなた達の事を思うと、
お母さんは心が痛むよ…」

と、訪ねる様に、
子供達の気持ちを確かめながら話を進めていった。

祖父母は、
何でも買ってくれ、
外食に連れて行ってくれ、
また私が食べ物に気を付けているのを知っていながら、
子供達が来る度にケーキを食べさせたりしていた。


うちでは、お金について深く考える様にしていて、
よく考えて本当に必要なものに使う事を、常に話し合っていた。
無駄なものを買うと、
お金だけでなく、時間も無駄になってしまう事、
また人の幸せを願って寄付をよくする娘だからこそ、
お金で誰かを助けられる事がある
というのもよく分かっていた。
しかし、いくら分かっていても、
すぐに何でも買って貰える、という誘惑には中々叶わなかった。

勿論食べ物も気を付けていた。
好き勝手させてくれる祖父母の所を選ぶ方を選ぶ気持ちも、
よく分かる。
私も子供達ならば、そちらを選んだと思う。
お金がある事はやはりいい事ではある。
でもお金で満たす心はいつまでも貧しいと思う。
今は、自分の人間力を高める時期。
私と、いつも一緒にいてくれるおばあちゃんと、
不器用ながらでたらめながら、
でも私達を守ろうとしてくれるおじいちゃんと、一緒に過ごそう。

と、思う事全てを子供に分かる様に、ゆっくり目を見て話した。
子供達は不満も一言も漏らさず、

「うん、私はお母さんと一緒に暮らす!
おじいちゃんとおばあちゃんと住めるのも楽しみだよ。
新しい学校も楽しむね!」

と、言ってくれた。
こんな小さい子供の心を傷つけて、何度も泣かせてしまったのに、
溢れてくる温かい頼もしい言葉。

泣いてばかりだった私の毎日だったのに、
子供達と一緒に、またにこにこ抱きしめたり、
宿題を手伝ったり、ゲームをしたりする様になった。

とっても幸せだった。
家族の幸せって、
こんな小さな事からどんどん広がっていくものなんだ。
何にも変えれない幸せってこういう事なんだな。
と、改めて実感した。
今回の騒動で子供達を悲しませた分、
命の限り笑わせてあげようと思った。
実家に行くと決めてから、すぐに引っ越し日を決めた。
日取りが決まった時、やっと前に進む感覚がして、
嬉しかった。

主人とは、今回の話し合い等で深く傷ついた為に、
ますます話せなくなっていた。
また酷い事を言われたらどうしよう…
と思うとストレスを感じた。
またストレスで発作も出る可能性もあったので、
必要最低限しか話せなくなってしまった。
自分が未熟なのはわかっていた。
でも私にはこの方法しか自分を守れなかった。
もう自分の心が素直に感じる様に生きようって決めた。
主人の態度は、私を腫物を扱う様な感じだった。


ここまで読んでくれてありがとうございます。
読んで下さった方が、素敵な一日を過ごせる様願っております。