自分の人生に「病気」がやってきた時

絶望しかなかった

夢や未来はかき消され

今いる世界が真っ黒に塗りつぶされた瞬間だった


周りに打ち明けるのも

嫌な事を言われる様な気がして言えなかった

全ての言葉が私を傷つけた時期だった

「病気」になるなんてカッコ悪いと思った

自分の悪い所が全部明るみに出て

皆に笑われると思った


先の予定を立てる事も怖かった

私はこの時まで生きていられるのだろうか…

常に未来を疑った


靴がボロボロになったので新しい靴を買おうと思った


安いその場しのぎの靴を選んだ

だって死ぬ行く自分にかけるお金が勿体無いから

生きている人に残そうと思った

服も食べ物も

自分には全てが勿体無いものになった

自分に対してお金をかけるのは

ドブに捨てているようなものだと思った


朝自分の顔を鏡でみる事すら嫌だった

きっと「病気」の顔をしているのだろう


「病気」は全ての楽しさ、ワクワクを奪っていった

近い未来のお迎えをただ無気力に待ち続けていた


私の心はどんどん深い海に沈んでいく様だった

早く暗い暗い何も見えない場所で

自分が死んだ事も分からないほど

何も感じる事がない場所へ行きたかった


こんなはずじゃなかった

あの人は健康で元気なのになぜ私…

全てに対して憎くてたまらなかった


ある日小学校の授業参観へ行った

同じ年齢の子供を持つママさん達

とあるお母さんがキラキラ輝いていた

モデルで会社二社の経営をしている方

頭の先から足の先まで磨かれ

話した感じの柔らかさからは感じる事が出来ない位

仕事もこなしているのだろう

三人目も妊娠しており

全てが上手くいっている人に見えた


一気に自分がみすぼらしくなった

「病気」だけでなく

ネイルなんて殆どした事もなく

服も記憶がない位前に買ったもの

仕事も上手くいかない

自分の不足している所の発掘が止まらなかった


授業参観から帰宅後


一気に体中の力が抜けた

みすぼらしい自分が辛かった

彼女の輝きが私の更に見えないものにしていた


彼女の人生だったらどんなに素敵だっただろう

毎日起きるのが楽しくなり

沢山の素敵な服の中から今日着るものを選び

それに合わせた靴を選び

ジュエリーも選ぶんだろうな

時間がないといいながらもヨガに通って

子供達とフランス料理で一日を締めくくる


ありありと勝手に彼女の素敵な一日を思い浮かべた

思い浮かべるという事は

気になって目に入るという事は

自分の願望の表れ

という事に気が付いた

なぜなら私の勝手な想像は

彼女の実際の生活とは違うかもしれないからだ


私にも同じ一日がある

自分はひねくれて、拗ねて、引きこもりになっているが


やろうと思えばある程度の範囲で出来る

という事は

自分が「やりたい」と思っている事を出来ていない

のは、自分の心が許可していないからだ

新しい靴を買う価値もない自分

と捉えているからだ

病気のせいにしてはいけない


病気に対して

私はもう逃げない事を決めた

今逃げてしまえばきっと私の人生は

色んな意味で終わってしまう

自分が自分の価値を見出す人生にしたい


今までやりたいと思っていた事をやってみよう

今まで押し殺していた分、勇気がいる事だが

少しずつで大丈夫


買った事のないマネキュアを買ってみた

塗ってみると

目につく度に心が弾んだ

自分の為に見ているだけで嬉しくなる靴を買った

外へ行きたくなった

ビジネスに本腰を入れて自分の責任で一歩一歩進めていった

売り上げが上がってきた


これ以上落ちる事のない人生の所までいった

病気になったけど

その事から私は学べた

今その学びを生かさなければいけない

チャンスをくれた病気に感謝しなければならない

そんな気持ちさえ浮かんでくる様になった

コツコツ、コツコツ進めてみた

すると病気がそっと私の頭から身を引いた

そういう事だったのだ

そうだったんだ

自分の中の答えをきちんと導く事

自分の心を理解し

そこまでの道を上っていく

それが私の人生の使命である