次の朝、朝ご飯を頂いていると、彼のお父さんがやってきた。
そして、

「昨日はごめんね。犬に噛まれるし、
白ご飯の後にお寿司とちらし寿司が出てきてしまって…


と、謝ってきた。
昨日の出来事をお母さんや彼、彼の妹から聞いた様だった。

指はまだ血が滲んでいたし、色んな出来事があったが、

彼の家族を見て、本当に明るく、幸せな家族だと思った。



アメリカに帰る日になった。

彼とは関西国際空港で待ち合わせた。
彼は、ずっと心がここにない感じで、そわそわしていた。
隠し事が出来ない人ではあるが、何か分からなかったので放置しておくことにした。

家を出て、大学まで行きつくには24時間ほどかかる。
私はそんな彼をほっておき、飛行機の中では寝続けた。

大学の最寄りの空港に着いた時、
速足で出口に向かった。
なんせ、24時間かかったので、早く自分の寮へ帰って寝たかった。

すると何故か彼が足を止めた。
そして、

「ちょっと待って。話があるねん。
好きやから付き合って欲しいねん。」


言われた瞬間、何を言われたか分からなかった。
フライトで頭がぼーっとしてたのもあったが、まさかそんな事を言われると思わなかった。

しかし、その時、年末の母の一言がよぎった。

「彼はきっとあなたの事が好きなのね~!」

お母さん、当たってたよ…と、思いつつ、
取り合えず友達も待たせているので、答えを保留させて貰った。

友達が車で空港まで迎えに来てくれていた。
彼と別れて車に乗り込む。

友達が旅はどうだったのか、と聞いてきたので、
たった今あった出来事を伝えた。
友達はきゃーと叫び、どうするの?どうするの?と質問攻めが始まった。

私の気持ちはどうなのか、と考え始めた。

考えるという事は、やはり彼の気持ちの様に好きじゃない事がすぐに分かった。

そういう対象として見ていなかったのだ。

しかし、彼といるといつも明るく楽しい時間は過ごせる。
まぁ、指から白い犬がぶら下がったりしたのも、笑えるネタにはなった。
一緒に過ごす時間が長ければ長いほど、楽しいと実感していた。

実感はしていたが、まだ好きになる、という所までは辿り着いてはいなかった。
自分の気持ちが分かった為、ちゃんとすぐに返答した。
彼は、分かったと言ったが、今まで通り友達でいようとお互い話し合った。


その後一年間かけて、私は彼と付き合う様になった。
一年も諦めず、何度も告白してくる彼。
嬉しかったし、有難かった。
そして彼に対してだけ、今まで感じた事のない安心感があった。
これが、本当の「好き」という事だと、初めて知った。


ここまで読んでくれてありがとう♡
読んで下さった方の一日が素敵なものになります事を願っております♡

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