脳腫瘍と分かってから、

寝ても覚めても、常に「癌」という事が頭から離れなかった。
 

癌は、私の生き方の間違いを悟らせてくれた。

もっと自分を大事にしろ、周りの人も大事にしろ、考え方を改めろと。


気づけた事により、人生に対して前向きな気持ちだったけど、

国立がん研究センターの重たい雰囲気が、すっかり私を支配してしまった。
 

 

数日前までは、癌なんて無縁のものだった。

しかし、宣告された時から、私には「癌」という烙印が押されたのだった。

初期と言われていたのにも関わらず、

「癌」という文字が私の命をもうすぐさらって行く気持ちになった。

烙印は、足かせになって、深い海の中をどこまでも私を沈めていった。



朝目覚めた時に、


「あぁ、今日も命があった。」


ご飯を食べる時に、

「これって癌にいいのかな?」


お風呂では、以前てんかん発作で溺れた事があるので、
入る事が怖かった。

「また溺れるのではないだろうか…」


寝る前には、

「もしかしたら、寝ている間にてんかん発作になって死ぬかもしれない。」


常に、常に、癌が私につきまとった。

これからの未来さえ、奈落の底へ落され、

家族とのこれからの夢を見る事すら忘れさせるくらいだった。

寝ても覚めても、「癌」という事が、涙となってとめどなく流れ落ちる様になっていた。


「病気をするって、本当につらい事だな。
病状だけでなくても、心までこんなに支配されるなんて…」


今まで、病気とは全く無縁だった私。

15歳まで予防接種も受けた事がなく、おたふく風邪や水疱瘡等の病気にもなった事がなかった。

留学する為に予防接種が必要だったので、病院へ行った時病歴を聞かれて、

「奇跡の人だ!」

と、先生に言われたくらいだった。



今まで出会った病気の人、

ふと目に入る病気の人のニュース、

今病院にいる人、

病気で苦しんでいる人、

色んな人の事を思い、自分も含めて一人でも多くの人が、

「病気」という烙印から卒業して、明るく過ごせる事を願った。


小さい頃から明るい性格といわれ、

笑うと、目を一筆で書けると言われてきた笑顔。

そんなものはもう、私の中には存在しない気がした。

私は名前をなくして、ただただ「癌」の烙印が押された収容人になった心持ちだった。


痺れはきては、治まる事を繰り返していて、

痺れの度に生命の危機を思い出す。


毎日目が覚めても、鬱々とした気持ちが晴れない。

主人も暫く有休をとってくれているが、いつまでも休む訳にはいかない。

会社に迷惑をかけている。

主人にも、子供達にも、心配をかけている。

迷惑ばかりかけている私の生きている意味とは、どこにあるのだろうか?

そんな事を考える様になった。
ただただ気持ちが重たく、人に迷惑を掛ける毎日が嫌だった。

命のカウントダウンをただ待っているだけの人生なのか…
それももうすぐなんだ…
もうすぐ命が消えるのに、何を目標に生きていけばいいのか…

本気で思った。

それ位、「癌」という烙印が私の気持ちを落ち込ませた。
 



ここまで読んでくれてありがとう♡

 


私の母が薦めてくれたムラキテルミさんのお話。
末期癌から食事療法等で完治した方です。
今もご健在で、ブログも書かれています。

代表作はこちらになります。
「世にも美しいガンの治し方」
http://murakiterumi.com/cancer
☝こちらの本は絶版になりましたが、ウェブでは読む事が出来ます。

ムラキテルミさんの他の書籍はこちらになります。
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