ボクの知るKさんはバイタリティの塊みたいな人で、
一日を人の3倍くらいの感覚で働き、動き続けるような人です。

ところが、舅さんが亡くなった後、すぐに姑さんが認知症になり、寝たきりに。

毎日の介護で疲れ、姑さんに対してきつい言葉で接するようになり、
そのうち自分までもが気分が落ち込み、一時はうつ状態になり、外出も控えるようになったそうです。

そんなある日、久しぶりの来院!

色んな話をしながら体の状態を診て見ると、腰痛はもちろん、ストレスからくる肩こり、
奥歯の噛みしめなどが症状としてありますが、何より気になったのが力が抜けない事。

人は長い時間、ガンバリ続けると力が抜けなくなりコチコチの体になります。

すると、血行が悪くなり免疫力も下がり、何より神経疲労が強くなり、うつ症状が出てきます。

「姑さんの介護で何がツライですか?」の問いに返ってきた言葉が

「私が誰か分からない事。私がお嫁さんだってことが分からない事。」

認知症があり記憶が定まらないとわかっていても、私を分かってもらえないのは、
人として大変ツライことです。

ある時、近所に介護施設ができスタッフの人が利用者さんに話す声が聞こえた時、

「ハッ」としたそうです。

「私はおばあちゃんに対して、私が介護をしてあげてるんだから!やってあげているんだから」という
思いがあった事をその時、気付いたそうです。

それからは言葉づかいを改め、優しく話しかけたところ奇跡が起こりました。

お嫁さんであるKさんの事が分からなかったのに分かるようになり

食事も摂れるようになり、白髪頭が少しづつ黒いのが混じるようになったそうです。

言霊という言葉があります。

言葉には魂が宿っています。いい言葉は人を幸せにするし、その言葉が戻ってきて自分も幸せにします。

今回のKさんの話を聞いてあらためて言霊は本当なんだと確信しました。

姑さんは今、人生最後の時間を過ごしています。好きな物を食べて、好きなテレビを見て、
好きな家族に囲まれて幸せな時間を過ごしています。

これこそが最後に望むもの。

それは幸せな死に方ではないかと思いました。