それは昨年の10月にあった中学の同窓会が始まりでした。

私が鍼灸治療師だと言う話から高校の時代の友達のМさんの話になりました。
彼女は現在不妊治療をしているが良い結果でない、どうにかいい方法はないか?

Мさんとの共通の友達のFさんが聞いてきたので、『鍼治療を試してみたら!』

そうなんです、無精子症、卵管が詰まっているなどでなければ鍼でも治療ができるし
着床しにくい場合などは西洋医学よりも効果があると思っています。

赤ちゃんのベッドを子宮の中に作ること、これが今回の私の仕事です。

彼女が来院したのは今年の2月、話を聞いてから5か月が過ぎようとした頃でした。
久しぶりの再会ですが懐かしむ暇もなく、問診から始まり、指圧をしながら彼女の体の状態
歪み、癖、冷え、精神状態、子宮、卵巣の状態など分かるだけ情報を集めて治療を組み立てます。

驚いたことに手足とお腹がすごく冷たいのに本人は自覚が無いこと。
また、頭痛持ちのため鎮静剤のお世話になっていたためか感覚が鈍くなっていること、
我慢を繰り返すごとに神経が疲労し反応しにくくなっていること等、
問題が次々に出てきました。

しかし彼女の良いところは素直に受け入れてくれて自分がどうしたら良いか考えてくれる所です。
不妊治療もそうですが患者さんが参加しないと東洋医学は成り立ちません。
二人三脚で歩いて行かないとゴールへたどり着けないのです。

治療の回数を重ねるごとに冷えが弱くなり体の緊張もほぐれてきました。
目標を立てるために『秋に子どもを作ったらどうか?』と質問したところ、

『できればもう少し後のほうが良い。』

『エッ・・・・・???』

彼女とご主人は結婚してすぐに彼女のお父さんの面倒を看ていたため新婚時代がなかった。
今が新婚時代だと!思わず納得!

あの頃は奥さんも優しかったかなぁ????
そんなことも思い出しながら治療をしていました。

6月に入って婦人科へ行った検査の結果、子宮の状態があまり良くなく、
不妊治療の再開をすすめられたことでかなり落ち込んでいました。

その時どんな会話をしたのかあまり覚えていませんが、9・11の話をしたのを憶えています。
『9月11日、アメリカで同時多発テロがあってから10ヶ月後、
アメリカではベビーラッシュが起こったこと。人は生命に危機を感じると子孫を残そうとする。
そのため排卵が起き妊娠しやすくなる。』
そんなことを言った覚えがあるんです。

セカンドオピニオンで出会った先生との相性が良かったのかМさんも不妊治療を本格的に再会。
ホルモン治療をはじめてすぐの治療で、
身体に変化が、胸が張る!

入ってきた時、お母さんの顔になっていたのでまさかと思いましたがビンゴでした。

翌週の検査で妊娠が確認され喜んでメールをくれました。

しかしその後の検診で心音が確認できず。
Мさんは一度妊娠したが流産していたためその時の落ちこに方は
いつもの元気な彼女の姿はなく悲しくて泣くに泣けず耐えるのがやっとだったと思います。

その後のメールを紹介します。

『今日、やっと妊娠検診費用を取られた(笑)
心拍も見え、順調に育っています。まだまだ油断は禁物ですね。』

『あんがとさん(笑)吐き気がしんどい時もあるけど、つわりともうまく付き合っています!』

このメールの向こうにお母さんの顔になった彼女の笑顔が見えました!