母の84歳のお誕生日ランチの後、
突然母から、父の遺産の一部の開示と遺言信託についての話を切り出されました。
両親の親戚がお金で揉めて、
兄弟姉妹の仲が悪くなったを
目の当たりにしてきたので、
私はよく父に、
「お金を残すとロクなことがないから、
生きているうちにお金は使いきって、
残さないでね」と話していました。
その父は、定年退職後に
すぐに病で亡くなり、
父は手をつけないまま、
父の退職金は、
そのまま母の名義に変わりました。
そのおかげで、遺族年金などもあり、
55歳で未亡人になった母は、
働かずに、生活を送ることができています。
母の話では、
いろいろな銀行から、
「遺言信託」をしつこく勧められて、
今度話を聞くことになったけれど、
どう思う?と、
私達姉妹に相談しました。
その時に、初めて聞いた、
「遺言信託」という言葉。
母が銀行からのパンフレットを見せられて
説明されますが、
どうやらお金がかかるらしいという事だけ、
伝わりました。
姉は、お金がかかっても、
母がその方が楽だと思うのならば、
そうさせた方がいいと言いましたが、
私は納得できず、
まずはよく調べてみて、
自分達でできなかったら、
最終手段として、
「遺言信託」を利用するという
スタンスでいいんじゃない?と
母に話しました。
母は了承してくれました。
ネットで調べてみると、
「遺言信託」を頼むと、
最低でも100万円がかかり、
1億円以上の資産家が利用するものだと
わかりました。
YouTubeでも、メリットとデメリットについて、解説しているものもあり、
メリットとしては、
銀行で、遺言書の作成をしてくれる行政書士、弁護士、司法書士等を斡旋し、
遺言書の保管と管理をしてくれるので、
安心で楽であること。
デメリットは、高額であること。
いわば旅行に例えると、
飛行機と宿を別々に取るか、
飛行機と宿のセットで取るかの
違いだろうというイメージです。
私は、母の心配を取り除くために、
調べて、役所で紹介されている
遺産相続の無料相談に予約を入れ、
母と姉と私の3人で、弁護士に
会いに行きました。
弁護士に、遺言信託について、
相談してみると、
最初に、母にある質問を投げかけました。
「お母さんは、遺言を残したいと思ってるのですか?」
母は、動揺して、
「わかりません」と答えました。
これには、私も姉も驚きました。
困った様子の母が姉に、
「どうすればいい?」と訊くと、
弁護士が、
「人には相談せず、お母さんが決めてください」と言いました。
そして、遺言書について、
こう説明してくれました。
お子さんが数人いる場合、
例えば、その一人に車や土地を買ってあげた、または、孫の大学の学費を出したなど、
そのでこぼこを埋め、公平にするために、
遺言書を作成します。
遺言書を作るか、作らないかは、
お母さんが決める事ですよ、と
言われました。
遺言を作るというのは、
自分の死後を意識しないといけません。
母の胸中を思うと、
私の心は苦しくなりました。
何人かの友達に、
「遺言信託」について訊いてみましたが、
遺言については、まったく皆無でした。
母から、実家の家と土地は、
同居している妹の名義に変えたいと
申し出があり、
姉が即、了承したので、
それを受けて、私は腑に落ちなかったものの、一旦は了承しました。
実家が妹のものになる。
モヤモヤしました。
私はどうせ海外に住むので、
実家に住むこともなく、
関係のないことになりますが、
しっくりしません。
しかし、遺言については、
母に任せることにしました。
どこの銀行でも、
高齢者に、「遺言信託」のセールスを
してくるらしいので、
楽で安心だからと、
調べずに手続きしないように、
気をつけて下さい。
