出典

著書名 プロカウンセラーが教える

      「場面別 傾聴術レッスン」     

著者名 古宮 昇

出版社 ナツメ社

 

人間関係を円滑にするためにも傾聴術は必要なスキル

章立ては以下の通り

第1章 求められる傾聴力とは

第2章 心理カウンセリングから学ぶ傾聴の基本

第3章 傾聴場面にあらわれやすい心理

第4章 知っておきたい場面別アプローチ

章ごとに要点・感想を記載

 

「第1章 求められる傾聴力とは」

・コミュニケーションの目的

①情報の伝達

②お互いに理解を深めて共通の認識をもち、共有世界を構築すること

・情報をキャッチ:苦手意識を捨て、素直な気持ちで相手が発信する情報を受け取る

  ↓

 価値観を肯定されると承認欲求が満たされる

               ※マズロー欲求5段階説の4段階目の欲求

・プロの技もそのままでは使えない

 傾聴:心理療法における技法の一つ

 傾聴の目的の違い 

 心理カウンセラー:依頼者の話しを聴いて、本人が主体的に問題を解決できるように

             サポートすることに力を注ぐ

 一般的な傾聴  :相手のニーズをつかみ、ニーズに合った的確な解決策を提供する

・人の心は移り変わる、ある瞬間に見た心の断片は過去のもの。

 傾聴はうつろう心の今に今に寄り添う。

・パーナム効果:誰にでも該当するような事柄を、自分だけに当てはまると

          思い込んでしまう心理 → 占いが当たると思う心理

・人間観

 ①人間は意識をもった有機体

 ②一人ひとり全くことなる個性をもっている

 ③社会の構成員である

 ④常に成長し、変化している

 ⑤人には侵してはならない人格の尊厳がある

・傾聴力を強化するためには

 ①多くの知識をもって多面的な幅広い見方をできるようにする

 ②思考を巡らせ想像力を鍛える

 

「第2章 心理カウンセリングから学ぶ傾聴の基本」

・おおらかな気分で耳を傾ける → 緊張感はまわりの人に伝わる

・あるがままに受け止める

 →人は心のバランスを保つために、必要な行動を選び取っている

・相手の主観的世界観に共感する → 自分の思いはひとまず脇におく

・共感するのは難しい → 人間理解は難しいという認識をもつ

・言葉より伝わるしぐさや態度

 → ノンバーバルで受け取るメッセージ、人の心は言葉にあらわされなくとも

   何らかのかたちで表現される

・相手の気分や性格に合わせて、受け答えの仕方を調整する

・話をさえぎらない

・話を聴いていることを相手に伝える

・相手の使ったキーワードを繰り返す

 ※心理カウンセラーは「わかる」という相づちはあまり使わない。

   何かわかったのかを言葉にして返す

・批判しない、非難されても受け止める

・他者への悪口は、否定しても肯定してもいけない

 →自分の中に生じている否定的な感情を受け止めなが傾聴する

・話し手の思いを言語化する

・話を引き出す → 情報を集めようとしない

・論理性をもとめない

・その人の力をほめる

・言葉の裏側にある心に気づく

 

「第3章 傾聴場面にあらわれやすい心理」

・ホンネを隠す防衛機能

①抑圧 ②逃避 ③合理化 ④補償 ⑤同一視(同一化) ⑥投影(投射)

・感情転移:過去の経験を思い出して、そのときの感情や態度を聴き手に向けてくる

・対抗感情転移(逆転移):相手の感情に巻き込まれいる状態

・情報は無意識にゆがめられる

①どんな情報も受け取った人の認知フィルターによって解釈される

②ハロー効果(光背効果):際だった特徴に心を奪われやすく、その特徴があるために

                 その人の見え方が変わる

③過度の一般化・過度の単純化:わずかな経験で認知する

・自分の物差しは他者には通用しない

・メサイア・コンプレックス:「自分が救われたい」という気持ちから、

                人の役に立ちたいと思っている

  ※心の底にある不満や劣等感の反動で、過度な理想主義に走り、頑張りすぎる

 

「第4章 知っておきたい場面別アプローチ」

場面、場面での「心の動き」と「アプローチの方法」が記載。辞書的に活用。

 

[総評]

内容的には専門的な人向けの説明がありすべを取り入れのは難しい内容も

あるが、傾聴の内容を把握するにはよい本。

カウンセラーを目指す人には最適な入門書といえる。