元外務省官僚で、ロシア連邦日本国大使館などを歴任後、02年5月背任と偽計業務妨害容疑で逮捕され、現在も控訴中の佐藤優さん。
「ソ連という国家が崩壊していく現場に立ち会ったことが、私の人生にとって大きなターニングポイントとなった」と語る佐藤さんは、外交官としてモスクワ駐留中、共産党守旧派とゴルバチョフやエリツィンの一触即発というクーデターを経験しました。
「そんな非常事態のなかでも、官僚たちは九時-五時の勤務を繰り返すのみ、国家崩壊の前で、どうすることもできずにいた、彼らは能力が低かったのか?まじめさが足りなかったのか?そうではない、どんなに秩序正しく、従順に業務を遂行しても国家が崩れる時にはなにもできない、そんなもろさを官僚は抱えていることを知った」。
この経験を経て、佐藤さんは上司に従順なスタイルを捨てました。「地位や役職にかかわらず、自分の意見は徹底的に主張する」スタイルへの転換。誰に対しても歯に衣着せぬ姿勢で飛びこむことで、鈴木宗男さんの事件にも巻き込まれました。それでも、官僚として責務を全うしなければ、国家は崩壊すると、現在も作家として警鐘を鳴らし続けます。
「日本という国家は、セーフティネットなくして断行された新自由主義政策のせいで、ボロボロになった。働いても働いても生活できないワーキングプア、モノのように切られる派遣社員、貧しくて結婚ができず、子供が持てない若者たち・・・・。個人の努力ではどうすることもできない構造的貧困を放置し、新自由主義政策をつづけれはならない」
佐藤さんは、当初から外交官になりたかった人ではありません。チェコの神学者・フロマートカという人を研究したい、しかし反体制派と呼ばれていた彼を研究目的に留学できない、そこで外務省専門職員の募集告知で「チェコ語研修」という言葉を発見し、わたりに船と試験を受けたそうです。
「大義を掲げる」ことよりも、「機会を探索して、小さなことを積み重ねる」スタイルの佐藤さん。何が正しいのかを深く考えているからこそ、原稿料の多寡で仕事を選ばない、講演の依頼には無償で応えるなど、日々の行動でも新自由主義に抗う一貫した姿勢をとるのでしょうね、顔はちょびっと怖いけど、魅力的な人柄です。