年を重ねたら何を食べるかではなくて誰と食べるか。
どこに行こうかではなくて、誰と行くかと聞いたことがあります。
若いときは、一人で食べ歩きの旅によく出かけたものでした。
この歳になると、もうそんな元気はありません。
もう一度食べてみたいものも薄れてきました。
それより会話が楽しいと何でも美味しい様な気がします。
旅にしてもそうです。
一人ででかけたが、旅先で知り合った人との会話で盛り上がって
その時の事が一番の思い出だったりします。
日本海を北に向かう列車で
偶然隣あわせた
お年をめした、和服の似合う上品な奥様と話しが弾んだ。
「これからどちらに」
「温泉に行くんですょ(^^)」
「お一人で」
「いえ。前の席に息子夫婦と孫がおります」
にこにこ微笑みながら指を指す(^^)
前の席はまだ小さなお孫さん二人が大騒ぎ
多分同じ席になれなくて一人になったのでしょうか。
でも、お孫さんのあのテンションには多分ついていけないだろう。
もしかして隣あわせた私は救世主かな(^^)なんて
営業経験があるから、初めての人でもすぐに打ち解けられる。
早くに亡くしたご主人の事や息子夫婦がよく面倒見てくれてる事。
今日は温泉に誘われたとの事をニコニコしながら喋ってくれた。
その喜び様は、前から決めていてとても楽しみにしていたのだろうと感じた。
「夫婦が元気なうちに一緒に出かけてください。
一人になると、出かける事が億劫になるからね。
あなたを見てると楽しそうな旅が出来そうね。
いつまでも夫婦仲良く元気でね」
ずいぶん前から一人きりになった奥様の言葉は身に染みた。
温泉駅に着いた。
通路を歩いて行く奥様を見送ると息子さんが頭を下げ
「話し相手になってもらってありがとうございました」
「いえ。こちらこそ楽しかったです。温泉いいですね。どうぞごゆっくり」
奥様は何度もふりかえり手をふってくれた。
一人だったら日本海を見ながら小説でも読むつもりでいたのだが
とてもいい時間を過ごせた(^^)