こんばんは。
岡田知子です。
先日、NHKでやっていたドラマ「ブランケットキャッツ」を、たまたま見ました。
公式HP: ドラマ10 ブランケットキャッツ
猫いっぱい出てるみたいだし、「かわいいに違いない♡」と見たら、
痛い目に遭いました。
あらすじをホームページから拝借。
「リストラされてしまった隆平(マギー)は、借金返済のために自宅を売りに出していた。
隆平は、職探しの帰り道、猫の飼い主募集の張り紙があるのを見つける。
子どもたちのために自宅での最後の思い出づくりをしようと、秀亮(西島秀俊)に頼み込んで猫を預かる。
家に帰った隆平は、子どもたちに猫を見せるのだが、子どもたちの反応は冷ややかだった…」
簡単に言うと、
お父さんがリストラされて、マイホームを売らなきゃいけなくなった…というお話。
子どもは中学生のお姉ちゃんと、小学生の弟。
そのお姉ちゃんが、引越ししたくないし、クラスメイトには「お前の家、夜逃げするのか」と言われるしで、「全部、お父さんのせいだ!」と怒りまくり。
お姉ちゃんが怒ったってお金が増えるわけでもなく、着々と引越しに向かっていくわけです。
家具を売るのに査定してもらったり、不動産屋さんが家を内覧に来たり。
そんな中、お父さんが写真を撮るんです。猫と遊ぶ息子を。
そして、引越しの日に「家の前で皆で写真を撮ろう」と言うんです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どうでしょう。
「切ないね…」という感想ですかね。
私はこれを見て号泣しました。
10年前を思い出して。
我が家はリストラではなく、父の倒産でしたが、
20年住んだ家を、借金のカタに取られてしまいました。
反抗期ではなかった私は、怒り狂うことはありませんでしたが(笑)
やっぱりつらかったです。
大事にしていたピアノを業者が取りに来たり、
置いて行かなきゃいけないものも沢山あって。
でもその時は「悲しい」と思わないように、必死で毎日過ごしていました。
そして、引越しの日。
家の前で、家族写真を撮りました。
今から出て行く家の前で。
本当は、辛かったし悔しかったし悲しかったけど、
仕方ないと受け止めるしかなかった。
あれから10年。
今の家は、古いし寒いし大変だけど慣れました。
でも未だに夢に見る前の家。
写真引っ張り出してみました。
あたしの部屋。
売っちゃったピアノ。
3歳から16歳まで習ってました。
そして、
引越しの日に、家の前で撮った家族写真。
やっぱり悔しかったなあ。
あの家に住んでいたかったなあ。
そんな思いが溢れて思わず涙しましたが、
私の人生にとって、これはひとつの素晴らしい経験だったと、今は思います。
人は、経験したことしか分からないし、
共感できないし、
理解することができない。
そう思います。
たとえば、
ペットを飼っていない人が、ペットを失くす痛みを、心から理解することは出来ないし、
いじめられた経験がない人が、いじめられる辛さを、心から理解することは難しい。
良い悪いではなくて、経験していないことは分からない、ということです。
私はまだ両親が健在なので、親を亡くす痛みが分かりません。
想像はできます。
でもあくまで想像でしかありません。
昨年、父親を亡くした子が言っていました。
「多分、いま知子さんは私の気持ちを理解して『辛いんだろうな』って思ってくれてると思うの。
でもね、その想像よりももっと淋しいし、悲しいし、辛いもんだよ。
私も看病していて、亡くなる前からある程度想定していたけど、全然違ったから。
これは、親を亡くした経験がある子じゃないと分からないかもしれないね。」と。
だから。
すごくつらい悲しいことがあっても、それは自分の人生の「財産」になるのだなと、最近思います。
婚活に失敗したことや、親の倒産、就職でつまずいたこと、不細工なこと、ちょっとだけいじめられたこと。
私の中の、つらかったこと、悲しかったことは、私の財産。
その境遇の人たちの気持ちを理解し、寄り添うことが出来る、素晴らしい経験。
これからの人生も、きっと色んなことがあるでしょう。
涙することだって沢山あるでしょう。
でもそれはきっと、財産になります。
無駄なものなんて何もないんです。
だから。
人生は素晴らしい。
何があっても、最後に笑える人生にしよう。
岡田知子