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オフィル星にはお金が存在しないと
前回記事「宇宙の基本法」
で書きましたが、
お金がない文明世界について、
もう少し詳しく説明しておきます。

ペドゥリート「アミ、でも、
どうしてタダで働けるの?」

アミ「もしね、君に愛があるなら、
人に奉仕できることで幸福に感じるし、
同時に、人から奉仕を受ける権利を持つんだ。
例えば、隣の家に行って
必要なものを持ってこられるんだ。
もし必要なら牛乳屋からは牛乳を、
パン屋からはパンをね。
でも、こんな風に皆んなバラバラに
無秩序にやるのではなく、
組合が組織されていて、
配給センターに運んで、
君が働く代わりに機械がやってくれるんだよ…」

ペドゥリート「じゃ誰も、
何もする必要がないや!」

アミ「いつもすることは何かあるよ。
機械を点検したり、
より使いやすいものに改良したり、
我々を必要としている人々を助けたり、
我々の世界や自分自身をより
完璧な方向に近づけたり、
もちろん、
自由な時間を楽しんだりね。」

ペドゥリート「でも、いつも人を
利用することばかりしか考えないで
それ以外何もしない人は、
いくらでもいるよ。」

アミ「君の言うような"ならず者"は、
進歩の段階が低いんだよ。
400度以下で、たくさんのエゴと
ほんの少しの愛しか持っていない。
実際、自分を抜け目なく賢いと
思い込んでいるけれど、
でも本当は大バカ者なんだよ。
その程度の水準じゃ、とても
文明世界に入ることはできない。
文明世界の人とは、
人に役立つことで幸せに感じられる人のことなんだ。
ここではたくさんの人が楽しんでいるけど、
大部分の人は、別のところにある
ピラミッドの中の研究所や大学で働いていたり、
遅れている惑星に使命を果たすため
ミッションとして出かけ、
奉仕したりしているんだ。
人生とは幸福になることだし、
それを充分に楽しむことだ。
でも、最大の幸福は、
人に奉仕することによって得られるんだよ…」

ペドゥリート「1日何時間くらい働くの?」

アミ「仕事によるけど、
快適な仕事なら1日中働くことができる。
今の僕のようにね…
でも、それは非常な特権なんだ。」

ペドゥリート「アミ、君、働いているって?」

アミ「僕は言ってみれば、
教師とか、使者のようなものだよ。
ま、どっちでも同じようなものだけどね。」


ペドゥリート「ところで警察は
どうなっているの?」

アミ「警察だって?何のための?」

ペドゥリート「警備したり、
悪人を取りしまったり…」

アミ「誰が悪人なの?」

ペドゥリート「ここには、
悪い人がいないの?」

アミ「誰も完璧な人はいないよ。
でも、700度以上は持ち合わせていて、
前向きで的確な情報と適度な刺激と
愛を伴った社会組織の中にいるので、
皆んな、同胞に対して
害を与えるということがない。
"悪人"になる必要がないんだよ。
だから、警察もいらないんだ…」

ペドゥリート「信じられないな…」

アミ「信じられないって、
でも別の世界では、人々がお互いに
殺し合っている…
そっちの方がずっと信じられないことだよ。」

ペドゥリート「本当にその通りだ。
今、はっきり気がついたけど、
いつか地球がオフィルのような
平和な世界に到達することは、
不可能のような気がしてきたよ。
僕たちは悪だ。
愛があまりにも欠けている。
僕自身だって何人か好きじゃないヤツがいる。」

アミ「進歩した社会でも、
やはり性の合わない人というのはいる。
でも拒絶もしない。
使命を果たす仕事とか、
長期の共同生活の仕事の場合、
相性の合った人を探す。
いずれにせよ、1500度くらいになれば、
すべての人を愛することができる。
その方向に向かって進歩するように
努力すべきだけどね。
地球人にしろ、我々にしろ、
現時点では、とても、そんなに
高度なことは要求できない。」


続く…

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