3連休。最悪だった。

あんまり、周りの誰にも相談できることじゃない。


でも、吐き出さないと苦しい。


日曜日。高島さんから連絡があったのは、夜9時ごろ。


「もしもし、AKO。今から逢えないか?」


「うん。大丈夫だよ」


多分もう家の近くに向かってきてくれてたんだと思う。


5分後。高島さんから着いたと電話。


すぐに外に出た。



車の中、何故か無言の状態が続いた。



沈黙を破ろうと思い切って聞いてみた。


「どうやったん?」


「AKO。ごめん。俺、最低やわ。」


「言ってくれへんかったら、意味がわからない」


「実は、この前、あいつから電話があって、

妊娠したっていうねん。それで、今日一緒に調べたら

やっぱり、そうやった」



『えっ、妊娠?』

予想してなかった言葉に力が抜けた。

その後、動揺して話をうまく聞けなかった。


しばらく沈黙が続いた。


きっと高島さんもAKOの言葉を待っていると思った。



「彼女の傍にいてあげたほうがいいよ。AKOの気持ちは

まだ間に合うし、大丈夫。だって、二人は、まだ体の関係も

ないから。大丈夫。」


「AKO、俺は、おまえが大好きやねん。おまえと一緒にいたい」


なぜか分からないけど、気が狂ったように久しぶりに声を出して泣いた。

「バカッ。」

って何度も言った。


時間が経つにつれて、いろんなことがリアリティに見え始めた。


今日で気持ちをすっきりさせなければって、その時思った。

妊娠している彼女。きっとAKOより不安。

でも、なんだか少し憎い。

こんなに素敵な人をこれから独り占めできると思うと

急に憎くなった。


AKOなら、高島さんをもっと大切にする。

そして、いつも笑顔で高島さんを迎えてあげる。


彼女はすごく辛いから、AKOに電話をかけてきたんだろうけど

AKOは、その時すごく憎かった。


これから先も高島さんの心のどこか隅にでもAKOがいられたらと

思った。



「高島さん、ひとつだけお願い聞いてもらってもいい?」


「AKO、俺は彼女におろしてもらおうと思ってる」


「それは、駄目だよ。それは、駄目。

お願い聞いてもらってもいい?明日になったら

今までどおりの妹に戻るから、今日だけ

高島さんの彼女でいさせてほしい。だから、今日は

一緒にいよう」


不思議とそのときは涙が出なかった。


そのまま高島さんの家に行った。

一人暮らしだけど、きれいに片付いた部屋。


自分からシャワーを浴びた。

自分から誘ったのは初めてだった。

それも、これが最後なのに。


シャワーから出ると高島さんが頭を抱えてた。


そのまま横に座った。

高島さんの胸にそっと寄りかかるとAKOの頬に雫が落ちた。

高島さんが泣いていた。

そのまま、AKOも高島さんの胸に顔を隠して泣いた。


そのまま無言で高島さんの首筋にキスをした。


いっぱい、いっぱいキスをした。



高島さんもいっぱいキスをしてくれた。


だけど、最後の一線は越えなかった。

それが、高島さんの愛情だったんだと思う。



なんだか泣きつかれて、二人ともそのまま眠った。


朝7時。そっと寝息をたててる高島さんに

「さよなら」を言った。


そのまま、駅まで歩き、電車に乗り、家まで帰った。


家につくと、急に力が抜けた。


こんなに大好きなのに、どうしようもないことが

多すぎて、二人の気持ちはこんなに手に取るように

分かるのに、一緒になれない。


高島さんに気持ちとは裏腹のメールを送った

「おはようございます。今日も一日頑張りましょうね。

あなたの可愛い妹。AKOより。」


そのまま一日中泣いた。泣き続けた。


バカだよ。いい人すぎるよ。忘れられないよ。