こんにちは。
幸せ受験.netのブログへようこそ。
今日は前回に引き続き、受験を通して深まった家族のきずなについてお話しましょう。
普段教室でとても穏やかで優しいA君が、
自宅で暴れるという理由で受験断念を迫られていた時、
私はA君を呼び、話を聞きました。
するとA君は、涙ながらに志望校を奪われた苦しみを語りだしたのでした。
この話を聞いたとき、私は言葉に詰まりました。
確かに本人の意思を無視してまで、
志望校を変えようとするご両親を責める気持ちがなかったと言えばうそになります。
しかし男の子を持つ親として、A君を強く育てたいというご両親の気持ちもよく分かりました。
だからこそ、私はA君とご両親の間で立ち尽くしたのです。
その場は、A君の話を一通り聞き、彼を帰しました。
そしてその後、A君のお母さんに御連絡し、塾まで来て頂き、
A君から聞いたことをそのままお母さんに話しました。
もともと乗り気ではなかった受験だったこと。
しかし、志望校を見つけてやっと自分の受験になったこと。
そしてその志望校を奪われて行き場のない気持ちが、
家庭内で暴れる原因になっていること…。
私は出来る限り自分の主観を排除しながら、
事実だけをお母さんにお伝えしました。
私の話を黙ってお聞きになっていたA君のお母さんは、
話が終わった途端、急に泣き崩れました。
「自分の愛情が逆に子供を追い詰めていたなんて…。」
お母さんはそういって泣かれたのです。
その言葉を聞いたとき、私は親の愛情の深さと、
愛深きゆえに犯してしまう過ちの難しさを思い知らされました。
どれくらい経った後だったでしょうか。
やっと落ち着きを取り戻されたお母さんは、
「家庭内のことをお話しするのは恥ずかしいですが…」と前置きされた上で、
次のような話をして下さいました。
お母様は幼い時、ご両親に学習するように注意されることも無く、
結局学習習慣も無いままに成長して短大に進学。
卒業後に銀行に就職したものの、すぐに御主人と知り合われて結婚。
そして寿退社後はずっと専業主婦でした。
お忙しい御主人の代わりに全ての子育てを預かり、
一人ですべての悩みを抱えられていたのです。
相談する相手も無く、でも自分の様な人生を送らないためにも、
しっかりと学習して、管理の行き届いた学校に入学させ、
安定した人生を送ってほしい…。
お母さんは心底そう願っていたのです。
「結局、私は彼を信じていないんですよね…」
お母さんはお話の最後に、そうつぶやかれました。
その時のお母さんの悲しげな顔は、今でも忘れません。
帰り際、私はお母さんに一言だけ言葉をかけました。
「A君は、お母さんが思われているよりももっと強いと思いますよ。」
お母さんは無言で頷かれると、静かにお帰りになりました。
その後ろ姿を見ながら、私はA君の家庭が幸せになることを心から祈りました。
さて、いかがだったでしょうか。
今回はここまでに致します。
次回は、この後A君の家庭がどう変化していったのかについてお話したいと思います。
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。