今年のニューヨークタイムスが2024年に行くべき52か所の3番目に山口市が取り上げられました。


このニュースは山口市在住の私たちにとっても意外性をもって受け取り、なぜ山口市が?という反応を感じた人も多かったと思います。


現在では山口市の観光地といえば瑠璃光寺や雪舟庭くらいで山口市に観光客がそぞろ歩きしているシーンなどは見ることはできなかったからです。


確かに瑠璃光寺の五重塔は背景とのバランスも素晴らしく、美しい塔だとは思いますし、静かな雰囲気も住んでいるものにとっては魅力あるものの一つです。


でも行くべき、とするには少し理由があいまいというか不足しているように住人としては感じるのです。


このような町は日本全国に他にも多く存在するだろうし、特に際立っているものではないからです。


でもこの際立っていないということにこそ、今回ニューヨークタイムスが選定した理由なのかもしれません。


平凡で、日本古来の伝統も備えており、生活を支える施設や文化もそれなりに住民に溶け込んでいる、そういう平凡さがアメリカの方には新鮮に映ったのかもしれません。


その一例が山口市なのであって、これが唯一無二というわけではないのかもしれません。


ですので、今後日本を世界にアピールする際にこの平凡な日本の風景を武器に売り込んでいけばいいのではないでしょうか。


何もそこに舞妓さんを登場させる必要もないし、忍者屋敷を建設する必要もないのです。


日本人の日本人たる原風景を代表させるとても平凡な山口市だからこそ、今回選ばれたと私は考えます。


地元や自治体が決してやっていけないのは、これから更にお客を楽しませる新しい施設やもっと宿泊できるような大型ホテルを建てようとすることです。


そうではなくて、今の地元にとっては平凡な生活をもっと多くの市民が共有できるようにおもてなしの精神の育成や、もっと言えることはこの山口市の生活を市民自らが楽しむ機会を増やすことです。


外部の方によく見てもらおうではなく、地元がもっとこの生活を楽しんで、地元に誇りを持つことが肝要だと思います。




今回のニューヨークタイムスの評価の一つに京都のようにあまり混雑していない、ということがあると思います。


紙面で紹介されるとどうしても来訪者は増えてしまうので、何ともそこは矛盾を感じますが、紹介されたからと言ってあまり浮かれて見栄を張ってさらに良くしようなどとは考えないことです。


これを維持することが大事なのであって、例えば路地裏のカフェなどをもっと利用することが大切なのでしょう。


マスコミに紹介されるということはとても大きなチャンスではあるのですが、マスコミに紹介された場合のデメリットも十分考える必要があります。


ちょっと前に、あるテレビ番組で今後投資すべきところとして山口市があげられましたが、このような動きはこの山口市の魅力を下げかねないと私は感じます。


不動産が安くて、人もあまり混雑していないところが評価のポイントなのだから、それは維持すべきことで、今の雰囲気を壊さないで徐々に、本当にゆっくりの変化で来訪者を増やすことが大事なのだと思います。


そして、施設ではなく、文化をもっと発展することはどんどんやるべきでしょう。


地元のお祭りでもいいし、もっとわかりやすく言えば食文化、いろいろな山口市独自の食べ物等を増やすことは積極的にやるべき最優先の課題だといえるでしょう。


いずれにしましても魅力のあるところに人は集まってきます。


マスコミで取り上げられたことは一つの魅力にはなりますが。長続きしないのが欠点です。


本当の魅力を多く作っていくのがこれからの課題です。


決して施設などの箱物を立てる発想には進んでいって欲しくないと感じています。


施設を作るとすれば、案内などの魅力を伝える仕組みの中で最低限のものを作るのはいかがでしょうか。


新しく人を呼ぶ発想ではなく、来た人に満足していただくことを最優先にしていただきたいと思います。