大人になるとできることの一つにお酒とたばこがあります。


たばこは日本では日本専売公社が一手に引き受けてきましたが、1985年にたばこの専売制度の廃止とともに日本たばこ産業という民間会社に変わっています。


でも最近は喫煙者の減少により、日本たばこ産業もタバコ以外のいろいろな事業に多角化を進めています。


たばこというものは健康に悪いというのは国民誰もが認知していましたので、喫煙人口の減少はある程度予想されていました。



これに対してお酒というものはもともと民間の会社で作られていましたし、酒に対する国民の思いもタバコみたいに健康に悪いというものではなく、酒は百薬の長、と言われているように多少の飲酒ならば体に良いものだという認識でいたのです。


だけど、この、酒は百薬の長というのは古代の中国のある皇帝が酒を売ろうとして考えたキャッチコピーだということです。


お酒が体に良いというのは何の根拠もないことだったのです。


ですので、最近はこの酒、アルコールの健康への影響というものがクローズアップされてきているようです。


ですのでこのブログでも何度か言いましたように日本でもソバーキュリアスという酒を飲まない人が増えてきています。


これは特に若い世代に多く、今後、シニアや高齢者にも広がっていくことが予想されます。


というのもお酒の健康に対する悪影響というのが徐々に明らかになっているからです。



お酒を飲むと肝臓でアセトアルデヒドというものに分解されますが、このアセトアルデヒドというのが健康被害をもたらす元凶だといわれています。


アセトアルデヒドは交感神経を高めるために睡眠の質を低下させるといわれています。


更に最も危険なことに細胞のDNAを傷つけ、がんの発生にも影響しているともいわれています。


そしてアルコール自体には利尿作用があり、体の水分を減少させ、そのために血液が濃くなり、各種の循環器の病気を引き起こす原因にもなっているようです。


ということでお酒は決して百薬の長ではなく、むしろ合法的な薬物だとまで言われているのです。


なぜ合法的かといいますと、日本の法律ではまだアルコールが禁止されていないからです。


たばこも健康に悪いといわれながら日本では法律でまだ禁止はされていません。


しかし、法律では禁止されていませんが社会的にはほぼ禁止されているに近い状態にまでなっています。


これがお酒となるとこれほどになるにはまだ時間が相当かかりそうです。


お酒というのはそれに関わる産業のすそ野が広く、飲食業から、酒の流通、さらには各種お酒のメーカーまで数々の産業が禁止となると大きな影響があります。


もちろんメディアやマスコミなども広告を通して大きな利害関係にありますから、お酒をやるようとするキャンペーンなどは打ちにくいでしょう。


ただ、法律などの対応以前に国民自体がお酒をやめる傾向にあるのは現状でしょう。


お酒はたばこと違い受動飲酒というものはありませんので、あくまで飲酒は自己責任ということで社会的にもなくなることは少ないと思いますが、意識の高い人はお酒をやめていくことは十分考えられます。



もしもお酒がほとんど売れない社会になっていったら、社会はどうなるのでしょうか。


アサヒビールやキリンビールなどの大手の会社なら日本たばこ産業のように別事業を立ち上げることも可能でしょうが、例えば日本酒の酒造メーカーなどは廃業するしかないのでしょうか。



酒のない世界をアメリカ島では一度経験しています。


禁酒法というものが1900年代前半にアメリカで施行されましたが、それは販売を禁止するもので飲酒を取り締まるものではありませんでした。


ですので飲酒をしたい人が減ってきたということではなく、飲酒の他人に対する害などが禁酒法の大きな推進になったのです。



だけど最近の日本での動きは飲酒をしない人が増えている傾向から、この流れは今後も続くと考えています。


飲みニケーションといわれる企業内での付き合い方もたぶん廃れていくのでしょう。



お酒のない世界、まだ世界でも体験したことのない世界ですが、近未来には実現していくのかもしれません。